短編

□メモリアルデイ
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14…知り合ったばかり、付き合ってなかった。
15…硝子の靴事件
16…留学中(実際は消滅してた。)

今思えば、うさこの誕生日を当日にキチンと祝えていない事に気がついた。

カレンダーをみると、不運にも月曜日だ。しかも高校の学期末試験の真最中。

前日が日曜日だからだから泊まるように誘いたいが、うさこの家族や水の戦士が許さないはず。
何せこの前の実力テストの結果が不味かったから。
デートの禁止令を喰らっている。これはおれ自身も結構辛い。
家庭教師もかって出たが、勉強に身が入らないと却下。最近彼女は厳しい…。


電話やメールのやり取りはしているが、やっぱり直接会いたいのが世の中の恋人同士の常識だろう。

テスト明けの土曜日にデートの約束はしているけど。
やはり誕生日は、その日に直接伝えよう。
俺はある計画を立てた。




「はぁ〜。」

今日は誕生日前日の日曜日。
ホントなら、皆でパーティーしたり、まもちゃんと甘い一時を過ごせるはずだったのに…。

明日はチョ〜苦手の物理と数字の試験。昼間は火川神社で亜美ちゃんの特別特訓を受けたけど…。頭パンクしそう。

まあ、この前の赤点とった私が悪いんだけど…。

「まもちゃんに会いた〜い。」

勉強の手を止め、誰もいない部屋でつい口に出してしまう。もう一週間は顔を合わせていない。

電話やメールはしてるけど、やっぱり直接会いたい。
ちょっとだけ…。私は自分の部屋を抜け出そうと、忍びあしでドアをあけた。

「ダメよ!うさぎちゃん。」

「げっ、ルナ!」

ドアの外にルナが陣取っていた。

「亜美ちゃんから、抜け出さないよう見張ってて言われてるわ。もう、キツく言われたでしょ!」

「そこを何とか、おでぇかんさま〜!」

「何言ってるの!貴女のためでしょ?はい、戻った戻った!」

それはそうなんだけど…。

「うぅ〜。」

私は脱走を阻止され、落ち込みながら机に座り直した。

教科書を見ながら、私の記憶が途切れていった。





〜コツッ、コツッ。〜

「…。ふにゃ?」

どうやら私は居眠りをしてしまったみたい。
窓の方から物音がする。

私は立ち上がり窓を開け、外を見た。
何もないじゃん。ふと空を見上げると新月が終わり姿を現したばかりの三日月が見えた。

〜バサッ。〜

急に目の前の三日月が見えなくなる。
ベランダにヒラリとマントを翻し、見慣れたタキシード姿が降り立った。

「まっ、まもっ…。」

名前を呼び終わる前に引き寄せられ、抱き締められた。

「うさこ。会いたかったよ…。」

「まもちゃん、どうして…。」

私が驚いていると、まもちゃんは一歩後ろへ下がった。

「我が愛しの姫君の誕生日のお祝いを誰よりも一早く伝えたくて馳せ参じました。」

そう言うと、まもちゃんは流れるような所作で会釈をした。
そして部屋の中にある時計を指した。

〜カチッ。〜

時計が12時丁度になる。

「ハッピーバースデー、うさこ。」

「まもちゃんっ♪」

感極まっちゃた私は、思わずまもちゃんに飛び付いてしまった。

「喜んでもらえたか?うさこ、サプライズ好きだろ?」

ちょっと、照れ臭そうにまもちゃんが聞いてきた。

「もう、凄くすごぉく嬉しいよぉ。まもちゃん!」

試験勉強で、折れそうになっていた私の気持ちに、この演出はとてつもなく幸せな気分にしてくれた♪

「また、キチンとしたお祝いはするからな。
今日はもう遅いから、これで帰るよ。うさこももう寝て明日に備えなきゃ。」

私の頭を撫でながら言う、まもちゃん。
現実に戻されて、ちょっと拗ねると私の顎そっと持ち上げ、キスをしてくれた。

「…うさこ。終わったらゆっくり過ごそうな。じゃ!」

そう言うと私から離れて飛び去って行った。

少し余韻に浸りつつ、部屋に戻ると、机の上に薔薇とプレゼント箱が置いてあった。

箱を開けると、月と薔薇をモチーフにしたブレスレット。ガードには、I  LOVE  YOUの文字と試験頑張れと書いてあった。

私の中で、17歳の誕生日は忘れられない記念日になった。
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