短編
□居場所
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今日は雨の日の休日。勿論まもちゃんと一緒。
外に出る気もしないので、のんびりとお部屋デート♪
特に何をする訳でもないの。
まもちゃんは課題があるからと、私の隣で資料とにらめっこ。
私は雑誌を見たり、テレビを見たり。
家で居るときと変わらないんだけど、まもちゃんと一緒に過ごしてるこの空間が好き♪
私に心を許してくれているんだって、幸せな気分になるんだもん。
何気なく、テレビのチャンネルを変えていると、昔の歌手を特集していて、スターライツの映像と曲が流れてきた。
「懐かしいなぁー。」
あれから一年も経ってないんだけど、随分前に感じるのは何故だろう。
「星野、歌ってる時は格好良いのねぇ。喋るとバカばっかりだったけど。」
私は独り言のように話をしながらテレビを見てたんだけど。
フッと視線を感じ振り向くと、まもちゃんが私を見つめてて。
何とも言えないような切ない表情してた。
けど直ぐに持ってる資料に視線を落とした。
「まもちゃん?」
「ん?」
何も無かったかのようにまもちゃんは、返事してくれたけど。
「喉乾いたか?何か入れてくるよ。」
資料を置き、立ち上がろうとするので私は服の裾を引っ張り行かせないようにした。
「うわっ!」
〜ポスン!〜
まもちゃんはバランスを崩して、ソファに尻餅をついた。
「ちょ、うさこ。危ないだろ!」
流石に怒られちゃった。
「だって、だって!まもちゃん、さっき寂しそうな顔してたから、私何かしたかなって…。」
「…、何もしてないよ。」
ため息をつき、頭を書きながら困った顔をしてる。
「ちゃんと言ってね?悪いところは直すからさ!」
私はまもちゃんの、腕に絡み付き下から顔を除き込みながら伝えた。
「…ふぅ。うさこには叶わないな…。」
そう言うと、私の腕をつかんで引き上げ自分の膝に座らせた。
「…会いたいか?星野君達に。」
「えっ?」
まもちゃんは、さっき見つめていた表情で、私に聞いてくる。
あっ、何となくわかっちゃった。
私は飛び付くようにまもちゃんに抱きついた。
「うさこ?」
「まもちゃん、…やきもち?」
「…///。」
下から顔を見上げると、目を見開いておどろいてる。ちょっと可愛い♪
「えへへっ。」
「…んだよ。そうだ、やきもちだ。」
耳を真っ赤にしながら、開き直って言ってくれた。
「嬉しい…。」
「えっ?」
「まもちゃん、あんまり言ってくれないからさ。」
「…。」
「いつも私ばっかり、やきもち焼いてるから。まもちゃんにそう言われると愛されてるんだなぁって。」
「…俺はいつもお前の事、想ってるよ…。」
そう言って、私を抱き締めてくれた。
「実はね、私、星野に告白されたことがあるの。ちゃんと断ったからね。
けど、真っ直ぐな気持ちをぶつけられて、正直言うと、ちょっとドキドキした。」
まもちゃんは、私の話を真剣な眼差しで聞いてくれている。
「助けてくれたり、励ましてくれたりし、優しくしてもらったの。」
「…ああ。」
「まもちゃんとは、違う優しさだと思った。けど分かったの。」
「何?」
「星野は、私にプリンセスを重ねてた。それは、彼等が戦士だから…。プリンセスの光に思いを重ねた…。そう思うの。
それに、私はまもちゃんが好き…。」
「うん…。」
「スターライツもプリンセス火球も大切なお友達。セーラーチームも皆大切なお友達なの。」
私は考えながら自分の本当の気持ちを話す。
「…けど、まもちゃんはお友達じゃないよ。」
「…じゃあ何?」
「私が私でいられる、居場所を作ってくれる大切でかけがえの無い人。」
「…うさこ…。」
「まもちゃんじゃないとダメなの。」
「…俺も同じだよ。」
「まもちゃんは、セレニティの事好き?」
「ああ。」
「月野うさぎは?」
「もちろん、愛してる。」
そう言われ、私はまもちゃんにしがみつく。
「ありがとう。前世も今までも全部引っくるめて、今の私があるんだよ。"貴方"が居てくれたから…。」
私は、自分から触れるようにキスをした。
体を離すと、まもちゃんの頬に一筋の涙がひかる。
「感謝するのは俺の方だよ。"君"が居たから、今があるんだよ。ありがとう。」
きつく抱き締められ、今度はまもちゃんから唇を重ねてきた。
私達は存在を確かめ合うように、お互いの温もりを感じあった。