短編

□パラレル
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月夜のバルコニー。
セーラームーンがテラスの長椅子で戦い疲れ眠っていた。
其所へマントを靡かせながら一人の男性が近寄ってきた。
タキシードを纏い、仮面をつけたその青年は、寝入っているセーラームーンの頬に指を滑らせる。
そして愛しそうに彼女を見つめ、その唇にゆっくり口付けをした。

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俺の部屋で、最近始まったセーラームーンを題材にしたアニメをうさこが食い入るようにみていた。
誰が脚本を書いたのか知らないが、俺達が経験してきた内容に良く似ている。
流石に全く同じではないが、俺達の出会いのシーンや塾での戦い、バスの事件など実際にあった事が画かれているので、セーラーチームの誰かがリークしたんじゃないかと思うほどだ。
今日は、ダイヤモンド国の王女来日の事件。
まさか、あの場面まで再現されているので、俺は驚いた。流石に見ていて恥ずかしい。
あの事は、誰にも言ってないし、俺の時はルナにだって見つかっていない。

居た堪れなくなり席を外そうとしたら、うさこに腕をがっちり捕まれていて動けなかった。
番組が終わり、うさこが一息をついて俺を見つめてきた。
この前までは、ルナはもっとキツかったとか、亜美ちゃん役の子が可愛いとか、レイちゃんはこんなにお淑やかじゃないとか色んな感想を言っていたが。

今日は何も言わず、黙って俺を見ている。
自分の時を思い出しているのだろうか。

確かに俺も寝ているうさこにキスをした。あの時はドレスだったし、セーラームーンと言うことも知らなかったけれど。

「ね…。」

多分、同じ事をしたのか尋ねようとしたのかもしれないが、最後までいう前に俺はうさこの口を自分のそれで塞いだ。

気恥ずかしさもあるが、あのときの事をやっぱり教えたくなくて。
深く口付けを続けて、うさこが何も考えられなく成るようにした。


あの事は俺だけの秘密だから。
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