長編

□cat tail Rhapsody 完結
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白猫どこかボンヤリしながら月夜の街を歩いていた。

(あーあ、またルナを怒らせちゃったよ…。)

彼は今日、愛しの黒猫の彼女と月下のデートをしたかった。けれど何故だか戦いの話になり、意見が合わず喧嘩別れをしてしまったのだ。

彼等は猫だけど色んな使命や責任を担ってきた。これからだって、仲間と共に世界を守って行かなければならない。それは彼も十分に分かっている。

あの時代には恋心なんて抱く立場や余裕も無かったけれど、以前より平和なこの時代だから、秘めていた気持ちを伝えたいと思っていたが。
未来の子供を目の当たりにして、結ばれる事が分かっていても、彼女の気持ちが今の自分に向いていないと彼は思っていたのだ。

『アルテミス。未来はいくらでも変わるんだから、しっかりしなさいよー!』

赤いリボンの相棒に言われた言葉も、彼を焦らせる原因だ。
実際に彼女は、人間の男性に何度か恋心を抱いたこともある。

(僕って、頼りないのかな…。もし人間だったら振り向いてくれるのか…?)

溜め息ついて、白猫は夜空をを見上げた。
何時もより大きく輝く月の光は、優しく降り注ぎ彼を心を慰めてくれているようだった。

今日は此処ら辺で一休みしようか。どうせ明日の朝に家に戻れば、相棒にも文句は言われない。彼はそんなことを考えながら辺りを見回し、公園の樹の木陰に適当な場所を見つけた。
膝を折りその場で座る。そのまま月の光を浴びながらうとうとと意識を手放していった。


★∴☆∵★∴☆∵★∴☆∵★∴☆∵★∴☆

灰色の仔猫がピンクのお団子の少女と楽しげに歩いていた。
また、未来から二人でやって来たんだろうか。
僕は近付きにこやかに挨拶をした。

「久しぶりだね!ダイアナ。ちびうさちゃんも!」

ダイアナは僕を見てちびうさの後ろに隠れた。どうしてだろう。

「ダイアナ?どうした??」

するとダイアナは、怪訝そうに僕を見つめ、訊ねてきた。

「貴方はだれですか?」

「えっ?誰って君のパパじゃないか!」

「…?私のお父ちゃまは貴方じゃないですよ?」

「え?」

僕は、訳がわからずちびうさを見た。すると、彼女は溜め息をつきこう言った。

「アルテミス…。ルナは貴方と結婚しなかったのよ。あれから未来は変わっちゃったから…。」

「えぇ〜!!」

未来が変わった?ルナと結婚できないなんて〜〜!!
僕は闇に突き落とされた気がした。


★∴☆∵★∴☆∵★∴☆∵★∴☆∵★∴☆





「うわぁっ!」

彼は大声をだしながら跳ね起き、周りを見た。
其処は昨日立ち寄った公園だった。

(なんだ、夢か…。其にしてもなんて質が悪い…。)

空を仰ぐと、陽が大分昇ってきていた。

(もうこんな時間か。早く帰らないと。)

夜遊びなんてやるじゃない!と相棒におちょくられるなと思いながら、彼は立ち上がった。

「?」

視界がいつもと違う。違和感を感じ下を見た。
自分の足、前足が…ない?そもそも四つん這い出さえなく、人間の足が見えた。
前足を目の前に翳すと、人間の手だった。

(えっ?僕の体はどうなったんだ?)

取りあえず姿が見える物を探し、噴水を見つけかけより、水面を覗きこんだ。そこには銀髪の青年がいた。額には三日月の印。

「えぇ〜!!」

そう、白猫は人間の男性に変身していたのだった。






〜あとがき〜

この度は、アルテミスを人間化させようとおもいまして。
旧アニメはルナだけ人間化したけど、結局アルテミスはそなままだったから、寂しいなぁと思ってました。

原作のアルテミスは、人間化してるし、イケメンでしたよね?

需要があるかは知りませんが、アルルナ恋愛模様を書いていきたいと思いますので、宜しければお読みくださいませ。
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