長編

□クリスマスデートパニック
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うさぎは、何時に無く不機嫌な表情でジュースを飲んでいた。

「どうしたのさ?うさぎちゃん。」

後から入ってきたまことは、うさぎに理由を訪ねたのだが。

「…。」

うさぎは答えず、隣でアイスコーヒーを飲んでいたレイが呆れた声で答えた。

「どうもこうも、この子がこうなる原因一つしかないじゃない。」

「…衛さんか?」

まことにもそれは想像がつく。話さないうさぎを横目に、理由を聞かされ愚痴られたレイはまことに構うだけ疲れると言うように手を振る。

「っとに、どうせうさぎのワガママなんだから、ほっといた方が良いわよ、
まこちゃん。」

「そうは、言ってもねぇ。何があったのさ?」

「…。」

「亜美ちゃん?」

やはり理由を知らないでは、ほっとくにほっとけない。だんまりのうさぎや、無視を決め込むレイの横で参考書を読んでいた亜美にまことは聞いた。

「クリスマスなんだけど…。
衛さん、イブから一泊で大学のゼミ仲間で泊まりらしいのよ。」

「成る程。そりゃ可愛そうだ。けど何時ものうさぎちゃんならこんなに不機嫌な顔しないだろ?」

「そうね。うさぎちゃんも衛さんのお勉強の邪魔に成らないように気を配っているものね。ただいく場所が納得行かないらしいの。」

「何処さ?」

「無限パークよ。」

「へぇ〜。でなんで嫌なのさ?」

黙っていたうさぎが、気分がぶり返したのか机に手をついて立ち上がり興奮して話し出した。

「だってだってぇ。前から無限パークに二人でも行きたいって言ってるのに、まもちゃん忙しいって行けて無いのよ!!
しかもクリスマスのパレードがあるそんな日に他の人と行くなんて…。や〜だ〜〜!!」

再び机に突っ伏して泣き叫ぶ。

「男同士だろ?」

「違うらしいわ。ゼミだから女性も居るのよ。」

「そうなのか。確かに何もクリスマスにゼミ仲間で行かなくても良さそうだけど。」

「どうも、ゼミの教授の趣味らしくてね。娘さんも一緒に参加するんだって。」

レイが呆れ顔で補足する。

「へぇ。衛さんそう言うことも、うさぎちゃんに言ったのかい?」

そうなら、衛は乙女心が分かって無いなと、まことは思ったが。

「元基さん情報よ。これを聞いてから機嫌悪いのよ。この子。」

うさぎは衛に散々謝られ、クリスマスは諦めるのを渋々納得し、週末デートは約束したのだが。行くメンバーまで聞かされて無かった。元基に詳しい事情を聞かされ我慢できなくなったらしい。

「衛さん、出席日数ヤバかったでしょ?
其をその教授が取りなしてくれたから、断れなかったらしいの。うさぎちゃんも分かってるから今さら行くなと言えないのよね。」

わかった上での駄々こねなのだ。確かに
どうしょうもない事だ。
辞めさせる訳にもいけないジレンマが不機嫌の要因なのだ。

「じゃあ、美奈子のていあ〜ん!
その日に私も達皆で無限パークに行くって言うのはどう?」

まことより、後から来た美奈子が突然手を上げ勢いよく話に割り込んできた。

「うわ、美奈子ちゃん!」

「ビックリしたわ!」

「えっ?皆でって?」

美奈子の登場に、まことやレイは驚いた。
亜美はその発言に疑問符を投げかけた。

「そうよ!毎年クリスマスはみんなであつまるじゃない。だから今年は皆で無限パークに行けば良いのよ!ね♪」

ナイスアイデアでしょ、と自信満々に言う美奈子だったが、三人の反応は微妙だった。

「いや、その日はちょっと…。」

「あ、私も予定がね〜。」

まこととレイは焦り出す。

「何、何よ二人ともその反応は〜!あ、あんた達デートね?」

美奈子の追求に二人とも顔が赤くなった。

「ふーん。友情より愛情とるのね。亜美ちゃん!亜美ちゃんは行くわよね?」

「わ、私も約束があるのよ。ごめんなさい。」

美奈子の勢いに押されながらも、亜美も二人とも同様に赤くなりながら参加を辞退する。

「皆!つれないわね。良いわよ、私達二人でも行くわよね?うさぎちゃん!」

「で、でも美奈子ちゃんだって予定あるんじゃ…?」

美奈子の提案は嬉しいが、クリスマスに恋人が出来た皆を巻き込むのは、うさぎも流石に気が引けた。

「私はイーの!あんなやつ…。」

実は、美奈子もクリスマスを彼と過ごせないのだ。
他の三人は学生と自営業の彼氏だから融通がきくが、美奈子の彼氏は業界人。年末の企画もあるこの時期にあんまり会えないのだ。

「美奈子ちゃん?」

「そ、それより、うさぎちゃん行くの?いかないの?」

美奈子の迫力に蹴落とされながらも、うさぎは衛の事が気になる。

「行く!行きたい!」

「じゃ、決まりね♪チケットは私が何とかするわ!」

そう言うと、美奈子は店をあとにした。

「私も色々と準備しなきゃ!じゃ、皆またね!」

うさぎもそう言うと、ジュース代を机に置き出ていった。

「あの二人、大丈夫かしら?」

「あぁ、何もなければよいけどな。」

「わたしは、嫌な予感しかしないわよ〜。」

残された三人は其々に二人の事を心配したのだった。




〜あとがき〜

甘々なクリスマスでも良かったのですが、ちょっとドタバタストーリーにしてみました。

セラムンの世界にテーマパークと言えば無限パークしか思い付かなくて…。

イメージは、ディ○ニーランドでお願いします
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