long story:日常in非日常

□2時限目
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―――出づらい



どーすっかなー

朝っぱらから俺は家の門の内側でしゃがみこんでいた。

家隣だしやっぱいつも通り一緒に登校するべきかなー

で、でも昨日の今日だぞ?どんな顔すりゃいいんだよ…


トントン

トントン

『あ?なんだよ人が悩んでるってのに!』


「へ〜そんなに俺の事で悩んでくれたわけ?」

後ろから肩を叩かれ振り返ると鼻と鼻がぶつかるほどの距離に桜二郎がいた。


『なっ!?』

「はよ。何してんだよ、さっさと行くぞ」

『お、おはよ…じゃ、なくて!どーやって門の内側入ったんだよ!』

そうだ!俺は家の敷地内にいたのになんで後ろから声かけられるんだよ!

「あ?んなもん塀乗り越えたに決まってんじゃねえか」

当然のように言いのける。

あぁ、こいつはそういうやつだった…


ん?そうだよ、こういう奴だったんだ!
もっとやりたいように強引にやるやつだった!

そういえばなんか無駄にこの1年くらい塩らしかったっつーか、大人しかったっつーか。

かと思えばまた元に戻りやがって…

「そんなもん惚れてたからだよ」

『は!?』

「好きな相手には好かれたいだろ?中二の終くらいかな、今のままじゃお前が落ちないって思ったからいろいろ試行錯誤してたんだよ。
でも…こっちのが良かったみたいだな。柚葵は押しに弱いからなー
昨日から赤くなってばっかだぜ」

一度話した距離をまた詰めるように桜二郎が近づく。

んなくっつくなっての!歩きずらいだろーが!



「……そこでくっつくのが嫌なんじゃなくて歩きずらいっつーから期待しちまうんだろーが…」



『あ?なんか言ったか?』

「なんでもねーよ。つーかさ、お前さっきから心の声口に出しすぎ」

『は!そーいやなんで会話してんだ!』

「だから全部ダダ漏れなんだよ」

『うっせぇ!昨日から考えること多過ぎてパンクしそーなんだよ!』

「それってさ、それだけ俺の事考えてるってことだよな?」

『ん?ま、まあ、そーだな』

考えたいわけじゃねえけど…

「ふはっ、なんかいいなそれ。
もっと俺でお前の中いっぱいになればいいよ」

うっわ…
これだよ。
この眉を寄せ、歯を見せて笑うさわやかな笑顔に俺は弱いんだ。

男の俺から見ても…かっこいいよな

180センチをこえる高い身長にほどよくついた筋肉。
髪は真っ黒で手によく馴染む短髪。
切れ長の目に褐色の肌によく映える白い歯。


こういうのをイケメンって言うのかねぇ



なんでこんなイケメンが俺なんか好きになんだよ…


恥ずかしいこと平気で言うし!!

「おっまえ、顔真っ赤じゃねーか!
俺に好かれてそんなに嬉しかったか?ん?」

『っ、ちっげーよ!つか、そもそも俺はお前のこと好きだなんて言ってねえからな!』

「いいよ、それで。今は、な。
絶対落とすから問題ねぇよ






……悪いのは、諦めさせてくれないお前だからな…」


『お、落ちたりなんかしねえよ!
てか、最後なんて言った?』

「聞こえてねえならいいよ、なんでもねー
ほら!走れ!遅刻すんぞ!」

『お、おう!』

…って、何ナチュラルに手つないでんだコイツは!!!
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