柊
□1.5
1ページ/2ページ
とりあえず、今日のところは家に帰って荷物を纏めたり心の準備をしてこい、とのことだった。
「・・・まさかわたしが竹中さまの教えを請うことになるなんて・・・」
「まさかおまえがあの場で返事をするとは、おれも思わなかった。先に言っておけばよかったなあ」
「この話、前から知ってたの!?」
「ああ」
自分の隣を歩く父は、軽い口調でそう答えた。
「官兵衛や竹千代もおまえのことを推していたんだ。長い付き合いだしな」
「そういえば二人とも今日はいなかったね。そのうち会えると思うけど」
「竹千代なんか会ったらびっくりするぞ。あいつ、急にでかくなったからな」
へえ、と相槌をうちながら明日からのことを考える。
やりかたは異なるだろうが、父と同じ主君に仕え、いずれは同じ戦場に立つことになるのだろう。
そして、期待をしてもらっているからには、それに応えたいとも思う。
「・・・頑張らなきゃ」
_