はるぞら
□地元でーとA
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都内から電車を乗り継ぐ事約2時間。
私とそらさんはとある私鉄に乗車していた。
名無しさん『長旅させちゃってごめんなさい。次の駅ですから』
そらさん『大丈夫だよ。名無しさんちゃんと話してたからあっという間だったよ』
そんな事を話していると車内アナウンスが間もなく駅に到着すると言っている。
私は立ち上がった。
名無しさん『ようこそ、そらさん。私の町へ』
少し恥ずかしいけど、そらさんに手を差し出してみる。
その手に気付くと屈託の無い笑顔を見せてくれるそらさん。
そらさん『うん!ありがとう、はるかちゃん!』
そしてそらさんはその手を握り返してくれた。
駅に着いて、電車を降りて私が先導しながら駅の出口へ。
名無しさん『こんな感じ…です』
そらさん『へー。っていうか全然田舎じゃないじゃん!お店とかいっぱいあるし!』
きょろきょろしながらそらさんが言った。
私の地元の最寄駅は、駅ビルではあるけど、有名じゃないデパートが入っている。
名無しさん『この辺りは割と栄えている地域なんですよ。北に行ったら田んぼばっかりですし…。あ、高校の帰りとか、よくあのデパートに寄ってました。あとは…その買い物の後あの路線バスで家まで帰ったり』
そらさん『へー!そうなんだあ。家は駅から遠いの?』
名無しさん『車ならすぐ着く距離なんですけど、歩くと遠いですね。あ、あと、そらさん、お腹空いてますよね?』
午前中に出発してきたが、もうお昼時。
まあ、ランチ時に到着出来る様にと思って、電車の時間を考えて出発してきたんだけど…。
そらさん『うん、空いてるかも。名無しさんちゃん、何食べたい?』
良かった。計画通り。
私は嬉しさが少し顔に出てしまったかもしれない。
名無しさん『良かったです。…実は、そらさんを連れて行きたいお店があるんです。そこでご飯食べませんか?』
そらさん『え?そうなの?何?何?』
キョトンとした顔から、嬉しそうな顔になるそらさん。