迷いうさぎと箱庭

□プールと1番最後のイケメン君
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第2話




蓮「ごめんな、凛。」

2時間の説教の後我に返った連は凛に頭を下げた。

凛「大丈夫です。気にしないでください。」

口では大丈夫と言っているが、凛は無表情で目に光が宿っていなかった。

蓮(や、やばい。完全に放心状態だ……。)

1人冷や汗を流し、なんとか機嫌をとろうとする蓮。

竜「ったく、誰だよ連を怒らせたのは…。」

瞬「お前だろ。」

半ばあきれながら竜に言い返す。

竜「うっ……うるせぇ!」

真実なだけあって、言い返せない竜。

?「ただいま〜!」

蓮「凛、付いて来て。」

凛「う、うん。」

どんな人なのかとドキドキしながら連と一緒に玄関へ向かう。




蓮「おかえり、健。」

?「おぉ、蓮……と誰?連の恋人?」

凛「え!?」

蓮「なっ!」

?「え?ちげぇの?」

蓮・凛「「ちがうよ!!」」

?「息ピッタリだなお2人さん。」

蓮「とにかく、恋人とかそういうのじゃ無いからな。今日から一緒に暮らすって昨日言っただろ?」

?「え?言ったけ?」

蓮「言っただろうが……。」

?「わりぃ、完全に頭から抜けてたわ!」

漆黒の髪の毛をがしがしとかきながら太陽の様に笑う。

肌は日焼けで少し黒い。

蓮「まったくお前は……。彼女の名前は花村 凛だ。」

青年は凛に向き直りにっこりと笑いながら自己紹介を始める。

?「俺は冴島 健(さえじま けん)。運動が好きで、テニス部と駅伝部をかけもちしてるんだ。よろしくな凛!」

凛「よろしくお願いします。」

健「そんな畏まんなって!もう家族なんだから!」

凛「…はい!!」




“もう家族なんだから”




その言葉がじんわりと心にしみる。

健「そういや、澪は?」

蓮「まだ、帰ってないよ。凛には帰って来た時に紹介するから。」

凛「うん。」

健は荷物を置いてくると言って2階へ上がり、連と私はリビングへと戻った。

瞬「あぁ、凛。どうだった?健は。」

凛「明るくて楽しい人でした。」

瞬「そうか、良かったな。」

凛「はい!」

瞬「……あぁーー…っと、その敬語やめないか?」

凛「は、はい!じゃなくて……うん、分かった!」

瞬「うん、それが良い。家族で敬語はおかしいだろ?」

凛「確かに。」

想像してみると本当におかしくて思わず吹き出してしまう。

竜「俺に敬語使ったら喧嘩売って来たって解釈するからな。」

凛「えぇ!?」

ゴスッ

瞬「こら、竜。素直に仲良くなりたいって言えば良いだろ?」

竜「はぁ?何でこんな奴と仲良くなりたいとか思わねぇといけねぇんだよ。」

蓮「そうか、竜は凛の事嫌いなのか……。」

竜「は!?そ、そんな事言ってねぇだろ!!」

瞬「だって……なぁ?」

蓮「そりゃぁ……ねぇ?」

竜「にやけんなよ!気持ちわりぃ!!」

蓮「まぁ、口は悪いが、心は純粋で単純なんだ。仲良くしてやってくれな?」

瞬「まぁ、簡単に言えばただのバカだよ。」

竜「馬鹿じゃねぇよ!!」

瞬「あぁ、馬鹿じゃなくて単細胞だったな。」

竜「て、テメェ!人をおちょくるのもいい加減にしろよ!」

蓮「竜が暴力を振るったら今日の夕食は食べられないと思っておけよ。」

瞬「ほら見ろ。」

竜「な、なんで俺だけなんだよ!」

蓮「瞬も一緒にだぞ?」

瞬「っ……。」

竜「はっ、ざまぁ(笑)」

瞬が苦虫を噛んだような顔になると、かかさず竜が瞬をあおる。

蓮「お前たちはほんとに仲が良いな。」

瞬「どこをどうやったら仲良く見えるんだ。」

竜「てめぇの目玉腐ってんじゃねぇのか?」

ここの家族はにぎやかで、暖かくて……心がじんわりと熱くなる。
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