□日常
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「ざけんじゃねぇ!!!」
そう俺は目の前に倒れている男たちに怒鳴った。

〜2時間前〜
「今日は珍しく褒められちまったなぁ。明日も頑張るかー。ってなんだてめぇら。」
尊さんに褒められて上機嫌で歩いていたら俺の目の前に男たちが立ちはだかった。数はざっと十人ぐらいで身長は高い。
「えぇ??美咲ちゃん、俺たちのこと覚えてないのぉ??」
「うわー(笑)馬鹿だぁー(笑)」
「流石吠舞羅(笑)」
「なんなんだよてめぇら!吠舞羅馬鹿にしてんじゃねーぞ!!!」
「おっ!喧嘩??そんな小さい体で??」
その一言で俺が切れて訳も分からず乱闘が始まった。

そして現在。幸いにも相手が弱かったおかげで俺はほとんど無傷であった。ただナイフに何か仕込んであったのかなんだかクラクラする。これはやばいかもしれないと思って電話をしようとした瞬間体がグラりと傾いき地面に着く前に意識が失くなった。


目が覚めると俺は見知らぬ部屋にいた。周りには机と椅子、本棚。そして本棚の上には俺と猿比古の写っている写真。そこまで見て俺はこの部屋の持ち主が猿比古であることを理解した。俺はどうやら猿比古に電話をしたらしい。

ガチャ
「美咲、起きたか。」
「おー。」
「おーじゃねぇだろ!どれだけ心配したと思ってんだよ!」
「ご、ごめんって!でも帰ってる途中に突然だったから…。そんなことより俺もしかしたら死ぬかもしれねぇ。」
「どういうことだよ。」
「なんかさっきからめちゃくちゃクラクラするし頭もスゲェ痛い。多分薬盛られた。」
俺がそう言ったあと、猿比古はものすごい勢いで笑い出した。
「な!お前俺が死ぬかもしれねぇのに!!」
「安心しろよ美咲ぃ。お前のそれはただの風邪だ。」
「え?風邪?」
「あぁ。お前今38度の熱があるんだよ。馬鹿でも風邪はひくんだな。」
「う、うるせ!看病しろよ!」
「横暴だなー。」
そう言いつつも猿比古の顔は幸せそうだった。

「なあ。美咲。もし、もし俺が今死んだらどうする?」
「あ?なんだよ。お前死ぬのかよ?」
「ちげーよ。ただどうすんのかって話だよ。」
「あーそーだなー。うーん。とりあえず葬式には出てやるよ。」
「どういうことだよ。まあ美咲らしくていいけど…。」
俺の頭を撫でながら猿比古はそう言い、部屋を後にした。

「なんなんだアイツ…。」
そんな独り言が部屋の中に響いた。
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