ハイキュー!!

□勘違い
1ページ/5ページ

俺は影山が好きだった。いや、それは嘘、か。今も影山が好きであることに変わりはない。ただ…失恋をした、今日。
今日は俺が鍵当番の日で、いつもどおりに鍵を閉めるために部室へ行ったら影山が誰かと電話していた。内容が気になったのでちょっと盗み聞きしてしまった。

「先輩のこと?好きっすよ。当たり前じゃないですか。」
「うるさいですね!だから愛しちゃったんですってば!!」
「はい。」
「恋に堕ちた瞬間?そうですね…。初めて見た時ですかね。」

そこまで聞いて、もう耐えられなくなってしまったので部室に入った。

「影山〜もう閉めるから出てもらってもいい?」
「あっ!はいっ!すみません!」

そう言った影山の頬は赤かった。俺はというと泣きそうになるのを堪えていた。声が震えていないか心配だったが、大丈夫だったようだ。

そのあとみんなと一緒にいつものところで肉まんを食べていた時、影山に言われた、あの電話を聞いていたのか、と。
俺はそれを聞かれて思わず動揺してしまった。そんな動揺が外に出てしまったようで今度は影山が動揺した。

「せ、先輩どこから聞いてましたか!?」
「い、いや…どこからって…あのー…そのー…先輩のこと愛しちゃったところかなー…?」
「あ、そうっスか…わかりました。なら良かったです。じゃあ俺帰るんで。さようなら。」
「え?あ、うん。ばいばい。気をつけて帰れよ。」

影山が帰ったら今度は大地が来た。

「スガ、大丈夫か?」
「ん?なにが?」
「なんか、良くわかんないけど、泣きそうだろ、お前。」
「大地は本当に俺のことがなんでもわかるな。…うん。泣きそう。ちょっと失恋しちゃった。」
「あっ、ちょっと待って。歩きながら話そう?」
「…ん。」
「ごめんみんな!俺たち先帰るけど、ちゃんといい子に帰るんだぞ!」
「「はーい!」」

「んじゃ話してくれるか?」
「今日さ、俺、鍵当番だったじゃん?そこでさ、部室の鍵閉めようと思って行ったら影山が電話しててさ、そこでさ、愛してるとかそういうこと言ってて…ッ!ごめッ泣く気はッ!」
「大丈夫だから。今は泣け。」

そう言って大地は俺を抱きしめた。
俺はその言葉で心の奥底に仕舞い込もうとしたものが一気に溢れてしまった。

-----

俺が泣き止んだ頃、二人で公園のベンチ座った。

「大地、ごめん。」
「落ち着いたか?」
「ん。」
「ならよかった。で、話すのが辛かったらいいけど、話してくれるか?」
「…どこまで話したっけ?」
「影山が電話で愛してるっていってたところ。」
「えっと。その後聞くのが耐えられなくて部室に入って鍵締めるぞーって言ったら影山が顔真っ赤にしながら出ていってさ、そこでああ俺失恋したんだなって。そんな話。」
「じゃあさっき影山と何話してたんだ?」
「ああ。なんか、どこまで聞いてたのかって確認。愛してるってとこだよーって言ったらならよかったって帰っていったよ。」
「ふーん。影山と電話してる相手はわかるか?」
「うーん…先輩って言ってたから多分及川じゃないかな?わかんないけど。」
「そっか。これからどうするんだ?」
「どうするって?どういうこと?」
「だから、例えば玉砕する覚悟で告白するとか、恋の邪魔をするとか。」
「大地は俺がそんなことできるように見える?大体さ、玉砕って言っても俺が告白なんてしたら部の空気が悪くなるべ?俺にそんなことできないよ。」
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ