【少年未来大革命論】

□4.『天使のような少女』
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そして部活が終わった後、風丸は不動に呼び出され校舎裏に行く事に。


「あの不動に呼び出されたのか…大丈夫か?」


不動に呼び出されたのを不審に思ったのか、鬼道に尋ねられる風丸。
何故コイツは不動の事になると知りたがるんだろうか…。
風丸はそう思い苦笑しながら、「アイツには恩があるんだ」と答え、荷物をまとめて校舎裏へ向かった。


「――よぉ、遅かったじゃねぇか。誰かに呼び止められたのか?」
「呼び出したのがお前だからな、仕方ない」
「何でだよ」
「鬼道に呼び止められたんだよ」
「あー……」
「呼び出したのがお前だからな」
「うるせぇ何で二回言った」


軽くやり取りをしていると、くすくすと笑う声が聞こえてきた。
振り返ると、そこにはあの少女がいた。


「二人は仲がよろしいのですね」
「「仲良くないです」」
「ふふっ…ごめんなさいね、呼び出して」


どうやら呼び出すように言ったのは彼女のようだ。
懐かしいような微笑を浮かべ、彼女は二人を見つめる。母が子を愛おしく見つめるかのような眼差しに、二人は目を逸らす事すら出来なかった。


「貴方達は奇跡を願い…一郎太君は『神聖』、明王君は『時間遡行』を使えるようになりました」


豪炎寺への想いと、豪炎寺の死から風丸が無理矢理手にした治癒の力、『神聖』。
鬼道と佐久間への想いと、二人の死から不動が無意識に手にした時限の力、『時間遡行』。
その時の出来事を彼女は振り返る。

決して良い思い出ではない。思い出したくない。だが、二人にとってその出来事が重要であるのだ、と彼女は語る。


「……さて。ここで、ある知られざる伝説をお話しましょう」
「伝説……?」
「ずっと昔のそのまた昔…宿命を背負った者達が居ました。一国の王や、救世主。しかし、そんな彼らが秘密にしていた、ある共通点がありました」


彼女は胸にに手を当てて、そっと目を伏せる。その長いまつ毛は、人形のように綺麗で。
まるで、悲しい出来事を思い出すかのように。


「彼らは希望を願っていたのです。しかし、それを願った代償に、戦いの運命を課せられたのです。彼らは普通の人間とは違います…そんな彼らに付けられている名は―――」


彼女がそれと言おうとした直前、近くから聞き覚えのある少年の悲鳴が聞こえた。

―――この声…まさか、豪炎寺……!?

風丸は一目散にその声のした方向へ走った。
風丸達が話していた場所の、すぐ近く。
そこには、腕に怪我をした豪炎寺と―――、


「豪炎寺……!!」
「ぐっ…何だ、コイツらは……!?」
「……コウモリにしちゃ大きいな」


―――普通のコウモリにしては数倍大きい。しかも血のように真っ赤なコウモリ。
そう、いわば『これ』は『化け物』だ。

直後から追いかけてきた少女が、落ち着いた声で風丸達に言った。


「落ち着いて。…これは、別の世界では『ノイズ』と呼ばれたり、『モンスター』や『悪魔』、『異形』と呼ばれたりします」
「モンスター……?」
「……悪い『魔』は祓わなければいけませんね…『リリィ』、お願い!」


彼女が掛け声を上げると、空から少年が風丸達の前に姿を現した。
……風丸達と同じくらいの年格好で、水色のツンツンした髪が特徴的だ。
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