【少年未来大革命論】

□0.導きの真実
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――ここは、どこだ?
温泉みたいなのがたくさん…あ、そうだ。ここは愛媛だ。何で、ここに?
…つーか俺、スゲー小さくなってる?

すると、一人の幼い、深緑の目をした男の子が、俺に近寄ってきた。


『風丸チャン、こっちだよ!』


――嗚呼、これは夢だな。
でも、何の夢なんだ?子供のころの夢?だけど、何も覚えてない。


『なーにしてんだよ、ほら、こっち!』


手を引かれる感触があまりにもリアルすぎる。何なんだ、コレ……?


そしてビジョンが変わる。
ここは、…『稲妻病院』?


『きみはまたどうしてそとににげだすんだ』


後ろを振り向くと、どこか見覚えのある男の子が立っていた。

"豪炎寺"…?


『きみはまだ、病気がなおってないじゃないか。すぐに病室にかえらないと』


え、俺、病気かよ。


『…まあ、安心しろ。オレがいつでもまもってやるから』


そういって、豪炎寺に似た男の子は、俺を力いっぱい抱きしめた。

へっ――え、なに?
急なことに、心臓がどくどくいって止まらなかった。


そしてまたビジョンが変わる。
今度は…何だろう、どこを向いても真っ白だ。


『風丸一郎太』
『っ!!』


そこにいたのは、あの"影山零治"だった。


『こういう形で話をするのは初めてだな…』
『夢の中にも出てくるか…』
『これは夢ではない。お前の過去だ』


その言葉に、俺は驚愕した。
俺の…過去?
何だよ、それ?覚えてないぞ…。


『私がお前から記憶を奪った。お前を人間として生かすために』
『何だよ、急すぎて分からない…』


混乱している俺に、影山は黒い手帳を渡した。
影山は構わず続けた。


『これからお前に、過酷な運命が待ち受けているはずだ。サッカーどころではなくなるだろう』
『…おい…』
『それを謙虚に受け止め、立ち向かい、強い心を持て。そうすれば、お前は…』


言い終わる前に、自分の意識が遠のいていく。
意識が完全になくなる直前、影山は言った。


『生きろ。


 私の息子…零(ゼロ)』


「―――っ!!」


目が覚めると、俺は自分の部屋にいた。


(何だ…やっぱり夢か…)


そう思い、一旦起き上がろうとしたとき、俺は自分の手に違和感があることに気付いた。


(?…何だ?)


その手には、夢の中で影山に手渡された、あの黒い手帳があった。
恐る恐るそれを開いてみると、そこには、自分の名だけでなく、よく知る人物と、名前を塗り潰されている人物、名も知らぬ人物の名が記されていた。


『零:風丸 一郎太 試作品及び未完成』
『壱:■■ ■■ 試作品及び失敗作』
『弐:鬼道 有人 完成品及び傑作』
『参:速水 真刃 完成品及び完全傑作品』


「夢…じゃない…」


真実を前に、言葉が出なかった。


俺の運命は、大きく動いてしまうんだ。
だから、受け止めて、立ち向かう時期になったのか?
何故、奴が死んだ今になって…。
待て、落ち着け。うん、落ち着こう。
とりあえずこれからどうすれば?

まずは、自分の記憶を取り戻そう。
そうすれば、自分がやるべきことが、おのずと見えてくるんじゃないかな。


手帳の最後のページを開くと、また知らない人物の名が出てきた。

初めて目にする名前なのに、どこか懐かしい感じがする。


『全知全能の宇宙の創造神:
 ミレイユ・マリアンヌ・ケラノウス』
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