【少年未来大革命論】

□4.『天使のような少女』
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「退院おめでとう、風丸、豪炎寺!!」
「……嗚呼、ありがとう…円堂、皆」
「…すまないな、心配かけて」


無事に退院する事が出来た風丸と豪炎寺。
サッカー部の面々が盛大に二人を祝う。
大盛りのラーメンを差し出され、苦笑しながらそれを美味しそうに啜る。


しかし。
風丸はあの謎の美少女の事を考えていた。
彼女は一体何者なのか。
そればかりが脳裏に浮かぶ。


「……大丈夫か?風丸」


隣で同じく大盛りラーメンを食べていた豪炎寺が、心配そうに声をかける。どうやら箸が止まっていたようだ。


「あはは、大丈夫だよ」


そう言い、ニッと笑う風丸。


――俺のせいで、豪炎寺は死んでしまった。
だから…俺はお前に想いを伝えてはいけない。
もっと言えば、関わってはいけない。
風丸は、内心思いつめていた。


「あ…そうだ、忘れてたわ!」


いきなり夏未が立ち上がり、こちらを見る。


「我が雷門中に、『聖サンタマリア学院』の生徒会長がいらっしゃったのよ」
「『聖サンタマリア学院』…??」
「それについては、俺が教えてやる」


鬼道が説明するに…。


――『聖サンタマリア学院』。
幼等部、初等部、中等部、高等部、大学、大学院…と、一貫教育の新設校。
神話や宗教を中心に、ハイレベルではあるが幅広い分野を学ぶ事が出来る。
ただし、学院に『スカウト』されないと入学できないという。


「スカウト制の学院か…珍しいな」
「生徒会長は、最初のスカウトに雷門中を選んだみたいね」


そう言って、夏未が得意げに微笑む。
どうやら夏未にとって、それは誇らしい事のようだ。


「生徒会長、とっても綺麗で聡明な女性なの」
「へぇ…」
「会った瞬間に、天使か女神に遭遇したかと思ったぞ」
「聞いてくれよ二人とも!この間サッカーを教えたら一発でプレー出来たんだぜ!」
「女子なのに強いな…」
「今ではマネージャーみたいに皆を気遣ってるんです!優しくて、お姉様みたいで…」


円堂達が口をそろえて生徒会長のすごいところを教えてくれた。
綺麗で聡明で、おまけに性格も良し。
聞いたところだと、非の打ち所の無い完璧な美少女…と言ったところか。


「明日、二人に会わせようと思うの。良いわね?」
「嗚呼、もちろんだ」


円堂や夏未達がこんなに言うんだ。
気にならないと言えば噓になる…。


――そして翌日。
生徒会室にて、円堂達とその生徒会長を待つ事にした。くれぐれも粗相の無いように、と夏未に釘を刺され、少し風丸は緊張しながら待った。
ちなみに、豪炎寺は風丸と違い平常心を保っている。


「連れて来たわ…さぁ、どうぞ」


夏未が扉を開け、笑顔で迎える。
そこに現れた生徒会長の姿に、風丸は驚いて思わず息を呑んだ。

金髪の長髪、白い肌、オッドアイな青い瞳…。
そう。そこにいたのは、紛れも無い。


「――初めまして…風丸君と豪炎寺君」


懐かしく優しい、あの澄んだ声。
そこに現れたのは、夢の中と病院で出会ったあの少女だった。
驚きのあまり、心臓が高鳴る風丸。
風丸と豪炎寺を見つめ、柔らかく微笑む少女。
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