【少年未来大革命論】

□0.導きの真実
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翌日のこと。
俺は、昨日の夢のことを思い浮かべていた。


『私の愛しい息子…零』


あのときの言葉が、どうしても信じられない。
俺は、あの男の子供だったのだろうか。

――もし、だ。

もし本当に、俺があの影山の子供だったなら、どうして自分が死ぬまで、この俺に何も言わなかったのだろう。
どうして、俺の記憶を抜いたのだろう。
どうして…俺をおいて行ったのだろう。

分からない。


「おはよう。母さん、父さん」


リビングにいた両親に挨拶をするが、返事は帰ってこない。今までに見たことがない、冷たい表情をしていた。
その表情のまま、こんなことを聞かれた。


「…一郎太、あなた…」
「…?」
「…あの影山に夢で会ったわね?」
「!?」


どうして分かったんだ?
困惑する俺に構わず、母は告げた。


「私たちは頼まれていたのよ。あなたの義理の兄にね」


義理の兄?そんなのもいたのか…?


「『一郎太がそれに気付くまで、実の子として引取り、時期が近づいたら、』


『殺せ』とね。」


その瞬間、頬に熱いものを感じた。父に殴られたのだ。


「痛っ…どう、して?」
「だから俺達は、お前の、」


「お前みたいな役立たずの餓鬼なんかの親じゃないんだよ」
「あなたは、悪魔の子よ。この餓鬼…」


―――嗚呼、そっか。
全部、嘘なんだ。偽者だったんだ。
影山、こういうことだったのか?
俺…大好きだった親に、これから殺されるんだ。

殴られ蹴られした俺の身体を、両親は無造作に車のトランクに詰め込んだ。
…川にでも捨てられるかなぁ。

車が運転を始めた。
ここから逃げなきゃ、両親に殺される。こんな事をされても、まだ両親が好きだ。でも身体は言うことを利かない。

…助けて。
助けて助けて助けて助けて助けて助けてたすけてたすけてたすけてたすけてたすけてタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテタスケテオネガイダレカ


「…助けてよぉ…神様…」


『ガシャン!!!』


その瞬間、車に何かが大きくぶつかった。その直後、車の中に火が回った。
――交通事故を起こしたんだ。

どこからか、透き通るような優しい声が聞こえる。


『こっちに来て』
「…だ…れ…?」
『早く来ないと、焼け死んじゃうよ?さあ、手を出して?』


言われるままに手を伸ばすと、温かい手が俺の手を引いた。視界は真っ白だった。

そして俺は、意識を失った。


『ねぇ、一郎太君』

『貴方は、何かを忘れているの』

『朝だけど、もう疲れたでしょう?』

『ゆっくり思い出していきましょうね』

『おやすみなさい』


『…"また会いましょうね"』


…続。
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