風紀部 本編

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 風紀部の部長になって早2週間が経とうとしているが幸喜の日常はそこまで変わりがなかった。
 いつものように学校に行き授業としてほとんど成り立っていない授業を受け昼は1人で弁当を食べ午後からまた授業を受ける。
 そこに部活動が加わったくらいだった。

 部活動といってもただの名ばかりのもの。喧嘩をしても少しばかり処分が軽くなるための体の良い部活だ。
 幸喜は部長になったものの喧嘩が出来ないので近藤達の喧嘩についてまわることは無い。

 そんな幸喜がすることと言えば部活の活動拠点として名前の書いてあった保健室の隣にある保健準備室で日課のアルバムを作ることくらいだ。

 保健準備室というのは保健室の右奥にある扉を開けるとある保健医のための部屋の事だ。

 中は10畳ほどの大きさでロッカーが3つとL字型のソファーと1人用のソファーが2つ、あと栗の木で作られた机、そして窓側には作業用のデスクと椅子が置いてある。


 部屋の中はシンプルで無駄なものが置いていないのであまり息苦しさを感じることは無い。
 幸喜はこの部屋に授業が終わると来て、保健医である枯木宏が「もう帰りなさい」と言うまでいた。



 近藤達は一度もこの部屋に訪れたことは無い。
 幸喜はそれに対して何も思っていないが枯木は時々「彼らにも困ったものですね。急に顧問になれと言っておきながら風紀部らしいことは何もしないんですから。…佐々木君も災難ですね」と幸喜に話しかけてくる。

 枯木は保健室と準備室の扉を開けたままにして幸喜と会話をする。
 2人の距離はそんなに離れてはいない。枯木も幸喜も窓側に置いてあるデスクで作業をしているので自然と横並びの形になるのだ。
 距離はそこまで離れていないためあまり声をはらなくても相手に届く。


 幸喜は枯木が話しかけてこないと基本的に枯木と話すことは無い。
 それは枯木に対してだけではなくほとんどの人間に対してはそうなのだが。


 だから幸喜は近藤達が準備室にこようとこまいと彼らをそのことで呼び出すことも話しに行くこともなかった。
 部長になってしまったのだからとりあえずは準備室にいる、ただそれだけだった。
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