教皇ハビ様

□イオニアの書庫
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「教皇…どちらの宮にも居ないと思ったらまた書庫で立ち読みかい?」
扉を閉めるなり、キキが口を開く。
「行き先も示さず、ウロウロしては、探すのが大変だ」
2m程先の棚の前にはハービンジャーが立っていた。
その手には本があり、所々に附箋がついている。
「それにしても…」
その姿をながめてから
「面倒だと言ってたのに…なかなかの勉強家だね…君は」
とキキ言葉を足した。
その棚は、歴代教皇の日誌や、聖域での出来事が納められた場所だ。
「うるせぇな…キキ
だいたい、お前達に命令出来る立場の俺に<君>っておかしいだろ」
顔をあげずにハービンジャーは返事を返す。
「仮に私が話し方をあらためたら…君は余計に臍を曲げると思うんだが…どうかな?」
「…」
「それに、公で教皇を君だなんて呼びはしないよ。
もっとも、君はあまり口が良くないから、普段から丁寧な言葉を目指した方がいいだろうけどね」
さらりと言いながらキキはハービンジャーの隣に立った。
「じゃあ、今度良い言葉遣いでも教えてもらおうじゃねぇか…キキ様」
そう言ってようやくハービンジャーは顔をあげた。
「で?俺になんの用だ?」
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