教皇ハビ様

□出発の前に
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キキはアテナにラキの夢について話した。
「…そうですか…では、キキはラキとジャミールに帰るのですね」
そう言ったアテナを遮るように
「…その事でアテナ…あんたにお願いがあるんだが…」
教皇が口をはさむ。
「ハービンジャー…言葉遣い!」
慌てるキキに
「構いませんよ、キキ
ハービンジャー教皇が丁寧に話す方がおかしいくらいです」
アテナは笑っている。
「それで…教皇、貴方は何を申し出るつもりなのですか?」
「修復師という者が、どんなところでその技を習い育つのか…
また、聖衣修復に必要な土地とはどの様な場所なのかを、この眼で見てみたいんだ。
部屋に籠って本見てるだけじゃ分からねぇ事がたくさんだからな。
オレは聖衣も聖闘士も詳しくはねぇ。
まして、それを支えてきたモノなんてさっぱりわからねぇ。
…教皇として、聖域を聖闘士を統べるのに、何も知らねぇじゃ伝わらねぇし、つたえられねぇ。
卓上の勉強だけじゃ薄っぺらだ!
だから…アテナ、しばらく教皇が聖域を離れる許可をお願いしたい。
ハービンジャーという育ちの悪い人間が、人の上にたつ教皇になるための一歩として…」
「ハービンジャー…貴方を選んだのは、本当に正解でしたね。
一見
、無鉄砲でガサツに見えますが、いつだって貴方は忘れがちな何かを見落とさぬようにしているのですから…」
「買い被りすぎかも知れないぜ?
ただ、読書に飽きて、フラフラしたいだけだったら?」
アテナが微笑む
「とてもそんな眼はしていませんよ、ハービンジャー
それに、逃げたいなら、わざわざお目付け役みたいなキキやラキと行かなくてもよいのですから」
「お目付け役ねぇ…」
ハービンジャーが苦笑いしてキキを見る。

二人の視線に、何故か少し居心地の悪さを感じながら
「それでは明日、ジャミールに発ちたいと思います」
キキはアテナに頭を下げた。
「頼みましたよ…キキ」
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