教皇ハビ様

□出発の前に
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魚座…ピスケスの双魚宮だ。
かつてあった一面のバラの花は、今は全く見当たらない。
マルスに破壊された上に、アモールはバラを望まなかった。
継ぐものが居ないということは、何とつまらない事か…
(トゲにも毒があるんだっけか?
香りとか血とかは書かれてたが…)
足元の枯れ枝を踏み締めながら考える。
(このまま花が枯れたら…ピスケスはその毒で周りを気づかう必要はなくなる
血を流しても、仲間を直接に庇える…しかし)
「わかんねぇなぁ」
(今まで其を道として歩んできたアモール以外は完全に過去になるんだよな…)
まとまらない脳内の様に、無駄にバラの庭だった場所を歩き回る
(もういいと…ピスケスもジェミニの様に自由になれと、バラも枯れたのか?
それとも、ただ主人の不在による悲しみか…)
ふと視界の隅に赤いものが見えた。
「種子…か?」
石榴のような、固まった血を思わせる実が二つ枝先に生っている。
(実が、もとの木と同じ毒バラとは限らねぇよな…
もしかしたらより強いかも知れねぇし、無毒…ひょっとしたら薬になるかも知れねぇ…
そもそも育つかも分からねぇか…)
ハービンジャーはそのうちの1つを摘まみ、足早に教皇の間戻った。
(早く
しねぇとキキにどやされそうだってのに、何だってこんな事やってんだ…オレは)
そう思いつつ、棚を探し小瓶を見つけて、中に実を入れて栓をする。
「これでよし!」
分からなくならないように、メモもつけた上で、もとの場所におきなおす。
(カビんじゃねぇぞ…帰ったら蒔いてやるから)
「さて、急がねぇとな」
私物はまだ、金牛宮においてある。
それに、この法衣はフドウに預かって貰うのだ。
ハービンジャーは一気にかけ降りる事にした。
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