教皇ハビ様

□出発の前に
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人馬宮を星矢と進みながらの雑談。
アイオロスのメッセージに軽く会釈する星矢。
「そう言えば…タウラスの角、お前が折ったんだったな…」
「ああ…」
今が法衣で有ることを忘れていたハービンジャーの手は空をかいた。
「おっと…今は着けてなかったな…」
「ハービンジャー…お前…」
その素振りに堪えられず笑う。
「何だよ!ガキみたいに笑いやがって!」
「すまん…ハービンジャー」
「ま、逆だったら俺もお前を笑い飛ばしてるだろうけどな…」
ふんっと鼻をならし、恥ずかしさを誤魔化して、一度星矢を見る…
お互いの眼を見て、今度は二人で笑った。
「お前は可愛いなハービンジャー」
「はぁ?」
突拍子もない一言にハービンジャーが間抜けた声を出す。
「光牙達と話しているみたいだ」
ムッとして返す
「おい…ひでぇな、あんなガキどもと同じ扱いかよ!」
「よく言えば、可能性を感じるって事だ…気を悪くするな」
「可愛いって形容とは繋がらねぇ…よ!」
ハービンジャーがぶつぶつ言いながら星矢の首に腕を回し、軽く締める。
「やはりタウラスだな!ハービンジャー」
懐かしそうに星矢は言い、腕から抜ける。
「豪快で強情…一見すると力馬鹿だが…認めた相手に
はとても優しい…
牡牛座聖衣の好みなんだろうな」
「俺はアルデバランを名乗る気はないぜ…
ハービンジャーってのも、親からもらった本来の名前じゃなく、いつの間にかついていた名前だけどな…
気に入ってんだ」
「お前はお前だ、ハービンジャー
巨星を目指し名を変える必要はないさ。
それに、Ωに目覚めた次代を導く教皇…
先駆者としては丁度いい名前だろう…?」
「勝手言ってくれるぜ…
お前が12宮登って来てた対戦相手なら、二度と弓引けぬ様にまず、両腕折りにかかるだろうな…そのあとで、駆け上がれないよう脚だな」
品定めをする視線が星矢の腕と脚に向けられる。
「相手の特徴を考えて折ってたのか?」
「あ?弱い奴ならな!
折るか折られるか…悔しいがあいつ…
タイタンみたいに強ければ、どこでも、折れそうなとこからしか攻められないけどな」
イタズラな笑みを浮かべ
「光牙達のはどこからいったんだ?」
星矢がきく
「聞いて楽しいか?」
「流れ的に…な」
「仕方ねぇなぁ、じゃ…サジタリアス様に教えてやるぜ」
「光牙のペガサスは馬だから脚…膝蓋骨から狙った。
走れない馬は死を待つだけだからな。
ライオネットの蒼摩は掌…大菱形骨。
獅子が獲物
を捕まえるにゃ、爪は必要不可欠だろ?
固定せずに喉笛噛みには来られないもんなぁ…特に仔獅子じゃあな」
「では、ユナも脚か?」
「いいや、鎖骨だ」
「鎖骨?」
「確かにアクイラは足技が得意だが、鷲も飛ばなきゃ狩が出来ないだろ?
飛ぶ鳥からは翼をもがねぇとな!
地に落としてからなら後は幾らでも…な」
「中々に残酷な考え方だな」
眉間にシワがよりそうな星矢を、当たり前だと言わんばかりにハービンジャーが笑う。
「演劇好きなアモール程に徹底はしちゃいねぇが、良い音を聴くためにはホールも選ばねぇとな!」
「成る程…相手がより挫けやすいステージを作ると言う訳か」
「分かって来たじゃねぇか」
嬉しそうにハービンジャーが星矢をみる
「龍は息吹…もしくは呑み込みにくるからな…ドラゴンの龍峰は下顎と蝶形骨。口を砕いてしまえば後はしっぽを使うくらいだろ?」「ウルフは…?」
「狼と言えば遠吠え…だろ?
だから、腹に力が入れられないよう、肺に空気を送りにくいように、栄斗は肋骨を折ったって訳だ…」
「味方…教皇として策を練るなら、頼もしい考え方かもな」
「どうだかな?
悪趣味過ぎて誰もついてこねぇかもな」
ハービンジャーが笑い飛ばす。
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