教皇ハビ様

□ジャミール
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「なぁ…ラキは何処まで行ったんだ」
「もう少し先にある川に行ったよ」
「川ねぇ…」
ハービンジャーが立ち上がって土をはたき
「男二人、花畑ってのも変だし川にいかねぇか?」
手を差し出す
「私は別に構わないよ」
腕にいっぱいの花輪
どうやら編み続けていたらしい。
「すげぇ量だな…」
「ラキが喜んでくれるからね…」
ハービンジャーに渡そうとしていたもの以外にも、花色を統一したものや、アクセントに葉を入れたものなどがある。
キキは差し出された手を掴むと、ハービンジャーの足を払った
「何すんだよ!」
文句を言うハービンジャー
一瞬バランスは崩したが、さすがに倒れるような事はない。
「私はここで君と二人きりで、待っていたいのだが…」
「遠慮しとくぜ…
書庫みたいにキスされたら嫌だからな」
ハービンジャーはラキがさっき手を振っていた方を見た
「向こう行きゃ川があるんだよな…
お前が行かないなら俺だけで向かうぜ?
但し、迷子になっても知らねぇがな」
チラッとキキを見て口元を歪める
「分かったよ…一緒に行こう」
キキは諦めて立ち上がった。
「道案内宜しく頼むぜ!」
ハービンジャーが駆け出す
「わざと迷子にならないでくれよ!」

キキも後から追いかける。

少し走ると前方にキラキラしたものが見えはじめた
川面に反射する光だ
ハービンジャーが足をとめた
「あれか?キキ…」
ラキの姿は近くに見えないが、確かに川だ
「お前んとこは全部キレイだな…」
川も空も緑も…全てが光を放っている。
「俺の街とは大違いだ…」
少し寂しげな背中…思わずキキはハービンジャーの腰に腕を回した…
「肩が抱けたら良いのだが…
生憎な背丈なのでね…」
「懲りねぇなぁお前も」
ハービンジャーの手がキキの肩甲骨から背骨をたどりながらおりてくる…
「!?」
と、そのまま片手でヒョイと抱き上げた
「ちょっ…ハビ…」
「さっきのお返しだぜ!」そして…
数メートル先の川原に放り投げた
「ひどいな…」
静かに着地を決めてキキが呟く。
その頭上を飛び越えてハービンジャーは川に飛び込んだ
水しぶきが二人を包む…
ハービンジャーは足元
キキは全体が濡れた
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