教皇ハビ様

□教皇とアテナ
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「だから…烙印の話は方便なんじゃねぇのか?って思ってよぉ…」
「…ハービンジャー…」
「ただ、あんたの性格から考えると、聖闘士の資格がなくなるってのはわかる気がするぜ…
どうせ、聖闘士としての悲しみや苦労を二度と背負わせたくないってヌルい考えしてんだろ?」
ハービンジャーはひょいと飛び上がり、畏れ多くもアテナ像の台座に腰掛ける。
「アテナエクスクラメーションを使ってまで、アテナを護りたかった奴らは…
望んでネェだろ…そんなんは…」
像を見上げながら、勝手に話を進める
「…それとも…それを承知で神罰にそれを盛り込んだのかは知らねェぜ?
あんたが実際にそんな罰を用意してなくたって、信じきってる奴らにゃ有効だろうしな!」
何も言わず、アテナは話を聞いている
「正直、俺にはどうでも良いことだ。
誰かに巻き込まれたり、巻き込んで散ろうなんざおもわねぇ…
ただ、もし、あんたを守るために覚悟を決めて裏技使った奴らが、本当はそんな罰も烙印もないのに苦しみ続けているなら…いや…現にあって、苦しんでるとしたら…
助けてやってくれねぇかな?城戸沙織ってアテナの人生が終わる時で良いから
…俺みたいな奴でも優しく照らせるあんただろ?
アテナ守って散った奴らを照らさねぇってのはおかしな話だぜ」
像から視線をそらし、ハービンジャーはアテナを見る
「それでは質問ではなく、お願いですよ…ハービンジャー」
アテナが少し笑う
「ああ?質問だろ!アテナエクスクラメーションへの!」
「まぁ…そうしておきましょうか
話が済んだのなら、戻りましょう教皇…誰かが戻る前に」
明確な返答はせず、アテナはハービンジャー手を差しのべる
口元を歪めてハービンジャーは台から飛び降りると、アテナの前に立った
「その手、返事として受け取るからな」
あえて手はとらずアテナに背を向けてもと来た道を戻りはじめる
「教皇…!」
アテナが呼び止める
ハービンジャーは振り返らず足を止めた
お互い特に口を開かず、柱を縫う風の音だけが響く
沈黙は長かったのか短かったのか…
再び歩き出したハービンジャーの足音に静寂はかき消される
「あんたは…やっぱ神なんだろうなぁ
望む望まぬは別に、信じる者達の願いや血が供物のな…」
振り返ったのだろうか…神殿の影に紛れよくわからない…
「…」
像を眺め…アテナもまた神殿に消えた…
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