教皇ハビ様

□ラキの聖衣
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記憶こそ伝わるが、ラキには聖衣の気持ちがよくわからなかった。
(他の聖衣の感情ならすぐにわかるのにな)
と、後ろから声がかかる
「心が折れそうな気配がしたんだが…気のせいか?」「ハービンジャー…」
「ま、音の出所がラキじゃあ、対していい音はしないだろうな」
ニヤニヤしながら近づくとラキの頭をわしょわしょする。
「…子ども扱いなのだ…」
「子どもだろ?今にも泣きそうな面しやがって」
「ハービンジャーはどうやって聖衣に選ばれたのだ?」
「はぁ?屈せず修行したからに決まってんだろ?」
「何のなのだ?」
「何のって…」
ハービンジャーは考えた。
小宇宙の説明をうけたあとは、ただひたすらにイオニアと組み手をしていた。
何度も死にかけ、その度に自分の心の中で燃える何かは輝きを増していったのだ。
ある時、死にかけなくてもその輝きがわかるようになっていた。
-其がお前の小宇宙だ-
そうイオニアは言い、その日からは意識を失ってもイオニアの拳に耐えさせられた。
いや…イオニアの言葉により、意識を失うことすら許されなかったのだ。
今更ながら、よく心が折れなかったものだと思わずにはいられない。
あの時はただ、いつかイオニアですら砕け
ると信じていたのだ。
青かった。
だがそれは幸いだった。
修行に手加減を知らないイオニアの導きがあったからセブンセンシズに目覚められたのだ。
自分には崖縁が似合う。
単純な砕くか砕けるか、折るか折られるかが分かりやすかった。
あわせて、イオニアの部屋には本がたくさんあった。
最低限の文字しか知らない自分とは違っていた。
ごくたまにある休息には、本を借りた。
アテナの歴史は、本を借りる前にいつも聞かされていた。
下らないと思った。
きっと目の前でアテナを殺したら、コイツは砕けるかもしれないと考え、自分自身の心を鍛える肥やしにした。

だが…ラキには似合わぬやり方だ。

事実シラーは肉体をさほど鍛えはしなかった。
むしろ集中力ばかり鍛えていた気がする。
黄泉への入り口を見つけるために…

ラキは…どちからといえばシラー方式だろう…

「ハービンジャー?」
「…あぁわりぃ、オレみたいに死にかけるまで、お前はぶちのめされなくても、小宇宙は分かってんだしな。
ひたすらに集中して、聖衣と向き合うしかないんじゃねぇの?」
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