短編

□封印されし者
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それは昔々の話し

善の身体だけこの世に存在し、悪の魂だけが封印された

そして悪の魂はある少年の手を借りて蘇った
自身の身体を捜し求めて




封印されし者




夢を見たの。そう言い目の前にいる少年が持っている本を奪い取る少女



「サクラ!それは僕の大切な物だ!返せっ」



眼鏡をかけた少年、クルークは本を奪い返す

むぅ。と頬を膨らませ睨んでくる少女、サクラ

二人は幼なじみ
小さな頃から、勝負したり
言い合いしたり
喧嘩したり
でも、毎日一緒に一日を過ごしている


だからこそサクラはクルークの事が何でもわかる

そして今、彼女は彼が持っている本に何か違和感を感じているのだ

じーっと本を見ていると、クルークが本を背中に隠した



「こ、これは貸さないぞ」


「うん。わかってるけど…
その本、何か怖いの」


「は?本が怖い?」


「うん。よくわかんないんだけど怖いの…」


「本が怖いだなんて、君はまだまだお子様だね」


俯くサクラを横目に皮肉を言うクルーク


いつもなら言い返してくるのに、何故か言い返してこない彼女に不満を感じたのかその場から立ち去るクルーク



「気をつけてね」



背後から聞こえた声は弱々しくて、思わず振り返ってしまった

手を振り切なげに笑う彼女に心が痛む



「いつもどこでも付いて来るのに
なんだよ、今日のアイツ…」






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