短編
□月が綺麗ですね
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満月の夜
隣で空を見上げるのは
月に照らされたキミ
【月が綺麗ですね】
「今夜は満月なんだって!
お月見しよ!お月見!」
そう嬉しそうな表情で話すからボクは笑いが止まらない
「ちょっとぉ!何で笑うのよーっ」
ぷくぅと頬を膨らまし睨んでくるサクラ
睨もうが何だろうがどんな表情でも可愛いと思う
「お月見は秋にするものってわかってるかい?」
ボクがそう言うとぽけっとした表情をする
間抜けな顔だが可愛いと思ってしまったり、彼女に対して嫌味を言うのをためらったりするのは、惚れた弱みというやつなんだろうか
まあ、そんな事はどうでもいい
今は隣でギャーギャー騒ぐ彼女を静めさせなければならない
先ほどからずっと「えっ?えーっ?満月出たらお月見じゃないの?違うのー!?」と騒がしいからだ
手で口を塞いでやると大人しくなる
単純で、そしてバカだ
心の中で呟いた瞬間、サクラが僕の手を振り払い頬をつねってきた
「今、こいつバカだって顔した」
「事実だろ?」
「ああ言えばこう言う…」
「それはキミも同じさ」
「うっ…。
と、とりあえず!私はお月見がしたいの!だからするの!」
「はいはい。そこまで言うならしてやってもいいよ」
「わぁーい!ありがとうクルーク!大好きっ」
たまには彼女のワガママに付き合うのもいいかもしれない
そう思いながら抱きついてきたサクラの頭を撫でる
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