短編

□月が綺麗ですね
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お月見

用意するものは月見団子

綺麗な満月

もう一つは満月よりも綺麗なキミ



なんてクサい台詞を本で読んだような気がする

満月は確かに綺麗だ
でもボクの隣で空を見上げ、口いっぱいに団子を含む彼女は何というか…



「クルーク?」



サクラに声を掛けられ我に返る



「何で私ばっかり見てるの?お月様、とっても綺麗なのに」



こちらを見つめた後、すぐ月に目を移らせる

月を見つめるその横顔が異様に綺麗に見えた
そしてふとある言葉を思い出す



「サクラ」


「なぁに?」


「月が綺麗だね」



フッと笑ってみると驚いた表情でこちらを見るサクラ

本なんて読まない彼女にとったら「そうだねー」って返してくるはずだろう

と、思っていたがサクラは徐々に顔を赤くした


そして俯き、小さな声で何か呟く

近付き、聞き返してみたら予想外の言葉が返ってきた



「わ…、私。死んでもいいわ…」



まさか、あの言葉の返し方を知っていたとは思ってもみなかった


月に照らされて、真っ赤な顔がよく見える

キミは本当に可愛い








(サクラ)


(は、はい…)


(どこでそんな言葉覚えたんだい?)


(あのね、本を読んで覚えたの。クルークは本が好きだから、私も本を好きになりたくて…)


(……そんな可愛いこと言っても残り一つのこの団子はあげないよ)


(えー、けちぃ!本当のこと話して損した!)




end.
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