短編
□花の匂ひ
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花が好きだとアイツは言う
だから花を摘んで渡してみる
でもアイツは花が可哀想だと言う
じゃあどうしろって言うんだよ
【花の匂ひ】
ふらふらと歩いていたら花を見つけた
小さな白い一輪の花
花を見ると必ずしもサクラを思い出す
アイツのために花を…と思ってしゃがみこみ手を伸ばしたが、つい最近サクラに怒られたことを思い出し手を引っ込めた
花を持って帰ることはできないから話してやろう
そう思い立ち上がった瞬間、ぶわっと強い風が吹いた
足下で咲いていた小さな花から心地の良い匂いが漂う
そうだ。と思いつき
また花の前にしゃがみこむ
風に吹かれゆく花の香りを服に移して、愛する人にプレゼントしよう
そうすれば
俺に抱きついたままになるし
離れたくなくなるはずだから
end.