rainydey
□壱之章
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このところ空には雨模様が続き、湿った空気が立ち込めるここ新宿。
未だ空には薄黒い雨雲が漂い、今にも降り出しそうで、昼間にもかかわらず周りは薄暗かった。
独り暮らしにはあまりに広すぎるマンションのリビングで、男はリクライニングチェアに背を預けデスクにあるPC画面に目をやると、マウスを少し動かすも、注目するものが何もなく、全面張りの窓の向こうの薄暗い外を眺め呟いた。
「はぁ……退屈だ、」
男の名前は折原臨也。
その男折原臨也は珍しくも暇を持て余していた。
「面白そうな事もなさそうだし池袋にでも行こうかなぁ、あの場所はいつ行っても面白い」
ニヤリとニヒルな笑みを浮かべて、折原臨也は毎度のように愛着しているファーコートを着て部屋を後にした。
ただいつもと違うのは、真っ黒の大きな傘を手に持って出かけたことだ。