『らいじんぐさん〜実はこんな意味〜』
「灼熱にかえて…『許されざる者』!」
フェイタンの頭上にオーラの塊が昇っていく。発動すれば死に行く者は、それをただ眺めるか無様に逃げ惑うしか道はないのだ。
「『太陽に灼かれて』(ライジングサン)」
その頃、どこぞの松野家ニート達の部屋では。
「…リーチ!」
「(チッ、早いな…手役は何だ?タンピン系と読むのが妥当。そして…多分好形だろうね。リーチ宣言牌の北は場に二枚切れの安牌。リャンメン・リャンメンのイーシャンテンだった可能性が高い。つまり、ツモ切りの四萬スジならまだ通りやすいが…よし!)」
「(っ!?七萬?一発目に?おかしいよ…親番だけど、打ったのがチョロ松兄さんだからな…シャンテン?テンパイ?でもテンパイなら東初親番を理由に即リーで追いかけても良い。いや、六萬のワンチャンスって可能性もあるね。でも初牌。ペン七萬やシャンポンも否定出来ないのに。ま、とにかくこの手…押す理由は無いね!)」
「(七筒?オリたな?今の内にリーチ者の現物を切っておいて、後々追い掛けリーチが飛んで来そうな親に対しての危険牌を先に処理したんだね。にしても、気になるのがドラがどこにあるのか…。チートイドラドラだから簡単にオリる訳にはいかないけれど、リーチ者は三巡目にドラ表の七筒を手出し。で、その後に一萬四萬。つまり、あの七筒切りでドラの対子を固定したんじゃないかな?って事は、メンピンドラドラで満貫?それか、タンヤオがついて裏まで乗ればハネ満まで。でもな…そうなると親は何で押したんだろう?親はダブ東は無いはずなのに…。はっ!もしかして結構筒子に染まってるとか?んー…ドラはあっちかも!)」
一方その頃、どこぞの国で天竺を目指す御一行様の宿泊部屋では。
「おしっ!俺起家ね!」
「猿からのスタートかよ…」
「起家悟空で幕開けですね」
「フンッ…」
タン、タン…とひたすら無言で牌を置く音が鳴り響く。その内八戒が口を開いた。
「ツモです」
「あ?」
「メンチンタンピンリャンペーコー。流れから言えば三倍満、二万四千点ですね」
その内悟浄も声を上げる。
「オラ来たァ!ツモ!!リー即ツモ、オモテ三ウラ三親バーイ!!はいカモン二万四千点ー」
その時、まだ一度も上がっていない三蔵の目がキラリと光った。そして次の局で悟空、悟浄、八戒の三人が順番に声を上げた。
「リーチ!!」
「リーチっ」
「リーチ」
「…フンッ」
「トリプルリーチですね」
「三蔵っ、アレ捨てて!!」
ゆらりと三蔵の手が動く。
「貴様ら…甘ぇんだよ」
三蔵のアガリ。
それは『国士無双』であった──…。
「タンマ」
「あ、すみませんフェイタンさん。僕達他作品がどうも地味に入り込んでしまったみたいで」
「あ!チョロ松見ろよ!あっちも麻雀やってる!」
「ちょと待つね。私今闘てるよ。何呑気に麻雀してるか?」
「ライジングサンと言う単語を聞いたら国士無双アガリの俺が出ない訳に行かないだろ」
「国士無双!?すっげー!!」
「うるさいっておそ松兄さん!!」
「…ゲームの役と私の能力、何が関係してるか?」
「ああ、説明しますね。僕らがやってる麻雀には様々な役名があるんですが、そもそも麻雀のルーツって深いんですよ」
「おー、出たな八戒先生の分かりやすい授業」
「麻雀自体は古来中国発祥です。しかし、今よりルールも複雑且つ役も多かったんです。その麻雀がアメリカに持ち込まれ、初代麻雀を簡略化した今の麻雀の基礎が出来上がりました。今のポピュラーなルールはアメリカで作り上げられた物なんですね。その時の国士無双に当たる役を当時アメリカで『ライジングサン』と呼んでいたんですよ」
「それは分かたが…」
「でも国士無双のが響きとか格好良い気はするよな!」
「それも分かたが…」
「そう言う事なんです。すみませんねフェイタンさん、お邪魔してしまって」
「本当に邪魔ね。ニートもボウズも皆一緒にここで殺すよ…」
「それじゃあ皆さん、各々作品に戻って麻雀の続きをしますか」
「松野家麻雀始めようぜ…!飛びなしのな…!」
「おーいフェイ!ボノレノフに代わるか?」
「うるさいよ」
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