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□ある雪の日の過ごし方〜カミ編〜
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雑誌の撮影現場に向かう新幹線の中。


オレは窓際に座って外を眺めていた。


ビルが立ち並ぶ景色から緑が見え、しばらくすると、白銀の世界が広がる。



「おー真っ白じゃん」



駅を出ると、健くんが目を輝かせる。



「うわっ、寒みー」



体を震わす剛くんにオレは続く。



「……寒っ」



こんな寒い日は、少しだけ気分が落ちる。


オレと剛くんは体を縮こませながら足早に歩くのに、

健くんだけは、雪を触ったり踏んだりして、なかなか進まない。



「おいっ、健。早くしろよー」


「もおー本当に、寒がりなんだからー雪だよ、雪っ!

こんなに積もってる雪にはなかなか出逢えないんだよ?」



そう健くんが雪を手に取り、ギュッと握る。



「冷てーね、ね、雪合戦しようよ!」



健くんがしゃがみ込んで雪玉を作り始める。



「やんねーよ……あーもうっ。岡田、健は置いてこーぜ!」



剛くんが踵を返して歩き出す。



「えっ……」




オレが声を上げた瞬間。


あ……。



「いって……」



健くんが作った雪玉が見事に剛くんの背中に命中した。



「岡田、見た見た? オレのコントロール、凄くない?」



子供みたいにはしゃぐ健くんに笑みをこぼしていると、剛くんの低い声が聞こえる。



「てんめぇ〜」


「ヤベッ。剛が本気で怒ってる」


「おまっ……ふざけんじゃねーよっ!」



剛くんも雪玉を作って、健くんに投げる。


でも、それをいとも簡単に健くんは交わして笑う。



「まだまだだなー剛は」


「腹立つー」



ムキになった剛くんと楽しそうな健くんの雪合戦が途端に始まる。







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