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□大好きが溢れ出すcandy〜剛健〜
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この時期は街を歩いていると楽しい。


1ヶ月前はバレンタイン仕様の店内。

それが終わるとホワイトデー仕様に変わる。

贈る物だけでなく、ラッピングまでもがカラフルで見ていても飽きない。

こんなテイストも好きだなぁと思いながら、店内を見回した。




バレンタインには岡田からチョコを貰った。

いつもお世話になってるからと、岡田が用意してくれたチョコは甘くないビターチョコだった。

多分、甘いものが嫌いな坂本くんに合わせてだと思うけど、

チョコといえば、甘さが必要だろ、と思う。


貰った以上、一応、お返しはしなきゃなと思ってここへ来た。



岡田には何がいいかなぁ。

クッキーにマシュマロにキャンディにチョコレート……。

ウイスキーもいいかもなぁ……。

そう、悩んでいると、あるお菓子が目に止まる。



これ……いいかもしれない。






3月14日。

ホワイトデー。


楽屋に入ると、そこには剛がいた。



「あれ? 剛だけ?」


「いや、坂本くんと井ノ原くんは呼ばれて出て行った。長野くんと岡田はまだじゃね?」


「そうなんだー」



俺はそう言って、剛の隣に座る。



「何だよ」


「何が? いーじゃん、隣に座るくらい」


「ここ以外に空いてんだろうが」




「……剛の隣がいいんだもん。ダメ?」




今日は……今日だけは隣にいたい。



「ったく……好きにしろよ」



剛が言葉を吐く。

そんなこと言って……ほんとは嬉しいくせに。

本当、素直じゃない。



剛はいつになったら素直になってくれんのかなぁ。


そう思いながら、俺は鞄の中からある物を出した。



「剛、はい。これ」


「……何?」
















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