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□お年玉
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収録の合間、俺がソファーで寛いでいると、岡田が隣に座る。

珍しいなぁと思っていると、少し俺の方に体を向けた。



「ねぇ、坂本くん……」

「何?」



言いにくそうな岡田に少し身構えてしまう。



「あのさぁ……」



そこで言葉を止めるから深刻な話なのかとそれ以上、言葉を出せずにいると、再び岡田が口を開く。



「お年玉をね、あげようと思うんだけど……」

「お年玉?」



岡田が俺に?

予想もしてなかった言葉に拍子抜けした。


でも……岡田がそんなことを思っててくれたのが嬉しかった。

岡田は去年、頑張ったもんな。

映画がヒットして、大河の主役もやった。

それ以外にもCMに雑誌の連載に……活躍の場が広かった。

それなりに自信も持てたんだろう。

今まで一緒に頑張ってきて、岡田からそんなことを言うのは初めてだ。


だからって、貰っていいのか?

違うグループならまだしも、同じグループだ。

俺が一番年上で岡田は一番年下。

それに俺もミュージカルや料理コーナーをもたせてもらってる。

岡田より活躍の場は少ないけども、やっぱり、リーダーとして、それは違う気がする。

だから……。



「岡田の気持ちは嬉しいんだけどさ、やっぱりそれは……」

「え? 何の話? 坂本くん、お年玉袋持ってないかなぁと思って聞いたんだけど」


「お年玉袋?」



声が裏返ってしまった。



「うん、お年玉袋持ってくるの忘れちゃって……去年、関ジャニにくれって言われてあげたから、今年もあげないとまずいでしょ?」

「…………そうだな」

「長野くんは持ってるかなぁ〜」



そう立ち上がって行ってしまった。





……袋かよっ!




普通に考えてそうだわな。


俺にくれるはずなんてないよな……。

少し期待してしまったけど、やっぱり岡田はV6の末っ子でしかない。

末っ子にお年玉をもらうわけにもいかない。

去年は一人で頑張ってきたもんな。

岡田にお年玉をあげるのも何だか違う気がするから……。

頑張ったお祝いに何か美味いもんでも食いに連れてってやらなきゃな。



長野にも同じように聞いている岡田に笑みが零れたーー。






-END-


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