novel
□透明エレジー
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あいつーーー…
セトは俺のせいで死んでしまった。
俺を憎んでるだろうなぁ
セトに似た人を見つけると声を掛けたくなる、が。
「居る訳がない」だから
言葉を飲み込む。息を止める。
俺は一人なんだ。
暮れた夜を混ぜては
喉の奥に落としていく。
昨日のように感じるんだ。あの出来事が。
でも、忘れたいんだ。
忘れてしまったら明日のことも思い出せなくて。
…あれ、明日のことって何。
確かにあの日
「痛い」って声もセトに届いてたはずなんだ。
「君が嫌い」その言葉、一番聞きたくないんだ。嫌い。
だから、聞かない。キコエナイ。
そう。もうお別れしてしまったんだ。
君に送った言葉も。
届かない。