マジックハーフとドラゴン退治?

□少女と世界
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「や、やっとついた・・・」

とある港町で、一人の少年がげっそりした顔でため息をついていた。







ここは大陸の海に面した小さな港町。少し生臭い香りが、海風に乗って、町中に広がっている。

「ほお、これが海というやつかあ!!」

疲れ切った顔の少年の横で、金髪の少年、もとい少女が喜びの声を上げた。

「なあ、泳げるか?
というか泳がないか?」

目の前に広がる青い水平線を目にしたフィーは少々テンションが崩壊気味である。

「泳いでる暇なんか、あなたにはないでしょう」

一方で、アオは呆れ顔だ。

「ここまで来るのに、どれだけ苦労したと思ってるんですか!?」

「全部が全部ボクのせいじゃないしー」

頭痛がしそうな頭を押さえながら、アオは今までのことを思い返していた。





◆◆◆


ほぼ強制的に旅のお供にされたアオは、とりあえずはここから移動しようと提案した。こんな草原の真ん中では、何もすることができない、と。説得が成功したまではよかった。問題はそれからだ。

「それで、ここは大陸のどこらへんなんですか」

「さあ?」

当たり前のように首を傾げる彼女に、アオは、本日何度目になるか分からない嫌な予感がよぎった。

「さあ、て・・・
どこに飛ぼうとか、考えなかったんですか!?」

「だって、とにかく逃げたかったから風の精霊に遠くに飛ばせとしか命令しなかったし」

さらに驚くことに、フィーは地図が全く読めないという。

「そんなので、どうやって一人で旅しようとか思ったんですか!」

思わず叫ぶと、彼女はうるさそうに顔を背け

「先のことなんて考えてられるか」

と言い捨てた。
つまりはやってしまえば後はなんとかなると考えていたらしい。

「はあ、もういいです」

あきらめたアオは、コンパスや、地図、太陽の向きなどからここが大陸の海沿いであることを割り出した。
そこから、とりあえず最寄りの町まで向かおうということになったのだが

「いやあ、野宿って楽しいなあ」

最寄りが遠すぎて、つくまで三日ほどかかってしまったのだ。

「僕は全然楽しくありません」

おかげで、彼の貴重な食料は半分以下になってしまった。
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