マジックハーフとドラゴン退治?
□少年達と少女達
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周りが随分と騒がしい。
竜族の青年はゆっくりと目を開けた。
まず最初に飛び込んできたのは、くりくりした、海色の瞳だった。
「あ、起きた!おーい!」
しかしそれはすぐに彼の視界から消え、変わりに誰かを呼ぶ声。体を起こそうとして、腹部にするどい痛みを感じた。そして思い出す。叩き付けるように切られた時のことを。
「なんで生きてんの?」
竜族の最大の強みであるドラゴン化はすでにとけている。今の彼は少し力が強いただの青年だ。
「一応止血はしましたから」
すぐそばで、高く澄んだ声。
なんとか声のほうに顔だけ向けると、エルフの少女が傍らに座っていた。
「あなたが死んでしまうと、双子達がまた騒がしくなりますので」
「双子?」
銀髪のエルフは、口元に手を当てクスクス笑いながらある方向を指差した。
◆◆◆
「だからさっきから言ってるだろ?
最後の攻撃はボクの力だって」
「いーや、俺の炎が無ければ無理だった。
だから、俺の力が大きい」
「大体、そんなことで意地を張るのは子供の証だよ」
「ボロボロの姿でよく言う。
真っ先に狙われたのは、お前が弱そうだからだろう」
「強い奴から狩った方がほうが早いって考え方もあるんだけど!?」
「楽観主義者はお気楽でいいなあ。
都合のいいようにしか考えない」
「ビビリは遠くから銃を構えてればいいから楽だよねえ。
怪我する心配もないんだから」
「なんだと?
どういう意味か言ってみろ」
「意味なんて言う必要もないね
自分で考えな」
「なんだと」
「なんだよ」
掴みかかろうとする二人の間に、アオが割って入った。
「はい、ストップ!
問題の人が目を覚ましたよ」
聞くやいなや、二人は全く同じタイミングで、青年の元へかけていった。
◆◆◆
「とりあえず、体中に着けていた魔法石は外しましたのであの火球は撃てませんよ」
4人の子供たちに囲まれ、浅黒い肌の青年はわずかに体を縮めた。
年は18歳くらいだろうか。少なくともアオ達よりは年上だろう。朝黒い肌に、黒目黒髪。髪はうなじの所でさっぱりと切られている。
青年の横に立つシズクは、彼が持っていた魔法石をしっかりと持って
「でも、今暴れるとまたぼこぼこにされますよ」
笑えないことをにこやかに言った。
「そんなことはどうでもいいんだよ」
青年ほど重症とまではいかないが、包帯だらけのフィーがグイッと彼に顔を近づけた。縛られている青年は、下がることもできない。
「なんであんなことをしてたんだい?」