誰かの話

□誰かの話3
1ページ/1ページ


最初は何に色をつけようか。

魔法使いはペンを片手に考える。

しばらくして

「最初はここがいい」

ひどく子供っぽい笑顔で魔法をかけた。

広くてさみしい空に、キレイな青が広がった。

「どうだい?
綺麗だろう?」

からかうような、鼻歌混じりの問いかけ。

部屋の中では答えてくれないけれど、その中では違った。


ーこれは一体なんだろう?ー


青を知らない住民はひどく驚き、天をあおいだ。



けれど、彼らは誰一人として知らない。

魔法使いがこの世界に来たことを、誰も知らない。

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ