マジックハーフとドラゴン退治?
□少女と世界
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「全く、一応言いますけど、町の中では・・・というかこれからは魔法は石を使ってくださいね」
「わかってるよ。
ここに来るまでに何度も聞いた」
今、フィーの胸には、魔法石のペンダントがぶら下がっている。
この世界ではハーフと言うだけで理不尽な扱いを受けることもある。そのため、アオは彼女に魔法を使うなと、口がすっぱくなるほど忠告していた。
「そういえば、魔法のことを約束する代わりに、ボクからも一つ頼みたいことがあるんだけど、いいかい?」
「なんですか?」
これ以上何を言う気だと、彼は身構えた。
フィーはびしっとアオを指差し、一言。
「敬語、いい加減やめてくれないかい?」
非常に不快そうな顔をしている。
「敬語?」
「そう、ずっと言おうと思っていたんだけど
ボク、敬語嫌いなんだ。
あと名前にさん付けもやめてくれ」
「はあ」
いきなりそんなこと言うものだから、アオはややとまどいつつ聞いてみる。
「でも、なんでです?」
「嫌いなんだよ。
ボクにとって、敬語は上っ面なことしか言わない奴が使う言葉なんだ」
塔の中での生活を言っているのだろう。
今までの話のなかでも、彼女が塔の生活を気に入っていなかったことはアオもよくわかっていた。
「それに、これから長い付き合いになるんだ。
いつまでもさん付けとかされてたら堅苦しくないかい?」
「まあ、それは」
長い付き合いになるのは、不本意なんだが、と彼は内心つぶやいた。
「わかったよ。フィー。
これからはため口ではなしま・・・じゃなくて、話すよ」
変に断って、ケンカになるのも馬鹿らしいとアオは頷いた。
「よし!
これでもっともっとアオと仲良くなれるな!」
満面の笑みで喜ばれ、アオは悪い気分ではなかった。