誰かの話
□青の少女
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ずっと昔、あたしは親に捨てられた。
それは今となっては記憶もないような随分昔のことで、今更その事について語ることは何もない。
語るべきなのはむしろ、捨てられた後のこと。
あたしが育った場所は行き場のない人たちでより集まってできたような場所で、あたしはそこでたくさんの親に囲まれて育った。
あたしは貧しくてもそこが大好きだったし、外の世界になんて興味なかった。
一生、ここで過ごしていくんだろう。
そう、思っていた。
そんなあたしが旅に出ようと思ったのは、暇潰しに書いた物語がきっかけだった。
◆◆◆
「オーイ!
朝だぞー!」
まだ夜が明けて間もないころ、耳元で起床を促す声がした。