短編

□7cm
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キセルに使う刻みタバコの葉のパックが見当たらない。部屋中を探しても探しても見つからないのと、ニコチン切れも相まって高杉の苛立ちは募っていた。
いつもは一定の決まった場所にしか置いてないわけで、高杉は首を傾げる。

『高杉いっつもタバコくせーしたまには禁煙したらどうなんだ。健康にもわりィしよ』
銀時が毎日のようにそんなことを言って禁煙を迫ってくるのを思い出して、ついに銀時が実力行使に出たのか、どっかに隠したに違いないと高杉は合点する。

そのおかげで更に苛立たしさを感じつつもふと高杉は目線を上へとうつらせてみた。頭上の壁に備え付けられた棚にパックが置いてある。
煩わしいことしてくれるじゃねェかあいつ、と高杉は吐き捨てながら手を伸ばすが。

届かない。

高杉は思わず舌打ちをした。ギリギリ届きそうで届かないのだ。

禁断症状がひどくなりそうだったので、高杉は手っ取り早くニコチンを摂取したかった。険しい顔をしながらも高杉は椅子を引っ張ってきて、その上に乗ってパックを取ろうとしたが。

「わざわざ椅子なんざ使わなくても俺はそんぐらい余裕で取れるぜ」

高杉はビクッと肩を震わせ振り返ると外出していた銀時が帰ってきたようでニヤニヤ笑いながら煽ってきたのだった。

「高杉はほんとチビだなー、牛乳ちゃんと飲んでますかー?」

コンプレックスを詰られたのと、銀時の薄ら笑いの表情が高杉の癪に障った。170cmという身長は決してチビというわけではないが、7cmも差がある銀時に言われると高杉は自分がどうしようもないチビにしか思えない。
高杉は無言で椅子を降りてずかずか銀時に歩み寄る。彼のただならぬ雰囲気に銀時は冷や汗を浮かべて硬直する。

「オイ…てめー今なんつったか」

高杉は銀時の襟を掴んで鋭い視線を投げかける。

「い、いやぁ、た、高杉って高身長で羨ましいなあって」

銀時のその場逃れの大嘘が高杉には更なる嫌味に聞こえる。銀時は墓穴を掘っちまったか、と小声で呟く。

こうしているときでも自然と高杉が銀時を見上げる形になって、高杉は余計腹が立つ。
下駄を履いてるときは彼との身長差が縮んであまり気にはならないがここは屋内である。

「俺ァ今ニコチン切れてイライラしてんだよ…ちょっと来い」
「えっ?は?」

目を白黒させる銀時を高杉は寝室へ引きずっていき、ベッドへ押し倒して銀時を組み敷く。
身長では負けても主導権はいつも高杉だ。

「高杉くん、な、なにをするつもりなのかなー?」
「ヤることは一つしかあるめーよ」
「やることってなに?なにやることって!?」

喚く銀時をお構いなしに高杉は唇を歪めると銀時を半裸にひん剥いた。
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