短編

□かたおもい
1ページ/3ページ

乱れた着衣、乱れた布団。
高杉は紫煙をくゆらせる。

「なあ銀時俺ら、ってなんなんだろうな」
「セフレじゃねーの」

間髪入れずに銀時が答える。
銀時と高杉の身体の相性は昔からべらぼうによくて一週間に一回は会ってこうして身体を重ねる。
高杉は銀時が思いを寄せている人物がいるのを知っている。しかも自分が知っている人間だということも分かっている。銀時は布団を被る。そのまま銀時が下へ潜ったと思えばぴちゃぴちゃと淫猥な音がして高杉の身体がぴくりと跳ねた。

「おい銀時てめーなにしやがる」
「高杉くんの勃たせてる」

口内特有の生ぬるさを昂ぶりに感じながら高杉は溜息をついた。いつからこんな爛れた関係になってしまったのだろう、と。

始まりは攘夷戦争中だった。戦争中だから性処理もろくにできず、女もいない男だけの環境は男をどうにかしてしまうらしい。切っ掛けは高杉自身あまり覚えていなかった。いつの間にかセックスをしていた。元来、銀時に密かに思いを寄せていた訳で銀時と身体を重ねることに抵抗はなかった。

銀時の淫乱さは高杉の嗜虐心を刺激し、銀時は銀時で高杉のペニスが自分を抉ってくるような快感がいい、と言って暇さえあればセックスしていた。若かったのか戦争中のストレス発散なのか、お互い性欲が旺盛だったと高杉は振り返る。

高杉自身銀時を好きだ、なんて素直に言える訳がないのだから、はじめの方はこうして身体を重ねあっていればいつかは銀時と結ばれることがあるのじゃないかと、高杉は仄かな希望を抱いていた。しかしそれは残酷に打ち砕かれる。

銀時が自分ではなく別の人物―桂へと目を向けていたのを知ってしまったのだ。銀時がはっきりと明言したことはないが、桂が好きだということが銀時の桂に対する態度から見て伺えた。それからというもの、高杉はだんだんと銀時との行為が空虚なものだと思うようになっていた。
銀時は早く桂に思いを伝えればいいのに、と高杉はもどかしくさえも思っていた。

それでも、行為をやめなかったのは高杉は銀時と繋がっていたかったからだった。こうして身体を重ねているときだけ銀時を独占できるのだから。

「あっ…っ!」

高杉が腰を突き入れると銀時は女のように啼いて身を強ばらせる。快感に震える銀時の白い背中を高杉はぼんやりと見つめながら高杉は容赦なく律動を早めていく。

こんな薄っぺらい関係いつまで続くのだろう、と不安に思いながら。逆にこの関係が断たれてしまうことも高杉は若干恐怖を抱き始めてもいた。

しかし高杉は決心する。
いっそのこと傷つく前にこの関係を自分から断ってしまおうと。清々しく諦めて、桂と銀時の仲を応援しよう、と。

「いくぞっ…!」
「あああっ!」

最後に大きく力を振り絞って高杉が奥を突くと白濁がまた布団を汚した。
次へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ