元カレと今カレ

□崩壊
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元来ヘビースモーカーとはいえ煙草を吸う量がここ最近増えたことを土方は自覚している。
吸殻を足で踏みつぶしていると、土方と同じく捜査を終えて気だるそうな沖田がガムを膨らませてこちらへ歩いてきた。

「土方さん、最近煙草吸いすぎやしやせんかィ。そのまま肺がんになっておっ死んじまえ」

沖田の日常茶飯事的な毒の入った軽口。
おう、そうだな、と土方らしくもない生返事。
沖田はカリカリと頬をかいた。

「こりゃ重症みてえだ。そこまで万事屋の旦那のことが気になるんですかィ」
「たりめーだろ。あいつなんかの事件に巻き込まれてるかもしれねェ」
「あの旦那のことだから無事だと思いまさァ」

攘夷浪士による夏祭りの爆破テロ事件。警備をしていた真選組としては重大な失態だった。
あのとき自分がきっちりと入念に警備をしていたら、と土方は臍を噛む。

民間人と警備をしていた隊士あわせて、犠牲者は数十人。被害は甚大だった。

幕府の役人だったり、要人は結局保安上祭りには行かず、被害はなかったが、それでも幕府にとっては脅威であった。

土方は現場から少し離れたところにいたので幸い難を逃れている。

後に真選組や幕府宛に届いた犯行声明から黒幕が、復活した鬼兵隊の高杉晋助らだということが分かった。
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