本棚A.s

□暗殺教室A.s 第3話
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「烏丸先生、が?」

「うん。だから僕たちと一緒に帰るってことにななるんだけど、萩生さんは大丈夫?」

「私は構いません。むしろお礼を言いたいくらいです。ありがとうございます」

「いいよいいよ。帰り道だし」

上は渚と麻耶の会話である。教室に戻ってきた渚とカルマは、残っていた麻耶に先ほど烏丸先生から頼まれたことを伝えたのだ。

「それじゃ行こうか」

「はい。よろしくお願いします」



山頂の校舎から降りて行き山のふもと辺り、3人は並んで歩いていた。

「…ねぇ、萩生さん」

渚が少し聞きにくそうに麻耶に耳打ちしてきた。

「?なんでしょう」

麻耶が不思議そうに返す。
カルマは軽く音楽を聞いているようで、彼には聞こえていないらしい。

「今朝の暗殺、さ。萩生さんが考えたの?」

「今朝の…?」

今朝の暗殺。といえば、カルマと最初の暗殺とほぼ同じ流れで行われたあの暗殺である。

「あぁ、あれですか」

「うん」

「あれは…そうですね。自分で考えたとも言いますし、他から助言をいただいたとも言えますね」

「?」

麻耶の言葉に首を傾げる渚。

「どういうこと?」

「つまりはあれでしょ。途中までは考えてて、そのあと誰かが助言した。ようはハーフ&ハーフ」

聞こえていないと思ったら聞こえていたらしい。カルマがいきなり返すので渚は驚いた。

「カルマくん、聞こえてたんならいってくれればいいのに」

「ごめんごめん」

「ふふっ」

麻耶が小さく笑うと、カルマの回答に返した。

「そのとおりですよ、赤羽くん。途中までは私が1人で考えていました。ですがそのあと、烏丸先生から赤羽くんの暗殺のことを聞いて、それで混ぜてみたんです。それが今朝の暗殺です」

「へぇ、どこまでは萩生さんが考えたの?」

渚の問いに麻耶は少し考えてから答えた。

「まぁ、あの。実は途中まで少し似ていたので。靴の裏にナイフを切って忍ばせるところまでは」

その言葉だけでも驚きであった。その後の2本目のナイフによる奇襲はカルマの暗殺を元にしたとしても、その『ナイフを切り刻んで貼り付ける』という発想はカルマ以外、E組のだれも思いつかなかったのだから。

「すごいね、萩生さん」

「すごくなんてないです。実際殺せんせーを殺すことはできなかったんですから」

「いやいや、いい線いってたと思うよ。ね、カルマくん」

「うん。殺せんせーが後ろに来た時の寺坂のリアクション、面白かったし」

「そこじゃなくてさ…」

暗殺の話はそこで終わった。あとは渚が今まで書き留めた殺せんせーの弱点や今までのE組の暗殺、E組に来た殺し屋の話だった。
しかし。

(転校してきて7ヶ月、本校舎に通っていた時期だって3ヶ月ある。電車通学ならその間もあの駅に通ってたはずなのに、地理に少しも詳しくない。それに、)

カルマだけは1人、考えていたのだった。

(それなら萩生さんは、今日どうやってE組まで来たんだ?)
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