彩雲国物語 李の花嫁 part2
□43話
1ページ/3ページ
宮の中は仲障が行きつけたらしき灯りが
ぽつぽつと灯る以外 深い闇に埋もれていた
その時 天をもつくような絶叫が下から
聞こえてきた
思わず足を止めた麗蘭とは反対に
春姫はまろぶように階を駆け下った
「......この声は、克洵さん?」
むっとするような甘い匂い
けれどそれに混じって鼻をつく嫌な匂い
そして煌々と灯りに照らされた地下の
有様を見たとき 麗蘭はぞっとした
こみ上げてきた吐き気を必死でこらえる
枯木のような誰かの死体と
まさに血の海としか表現できない一面
その血だまりのなかに跪いて
絶望に覆い尽くされた顔をしていたのは....
春姫「克洵様!」