彩雲国物語 李の花嫁 part2

□46話
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「.....ったく、あの馬鹿 どこに居ますのよ」

あちこち駆けずり回る州武官や全商連護衛兵の
間を走り抜けながら麗蘭は首を傾げた


ふと、麗蘭の耳が微かな異音をとらえた

この大騒ぎの中 どこからか
楽の音が聞こえてくる

それは麗蘭が毎夜弾いていた二胡のもの。



(..........相変わらず呑気な馬鹿殿ですこと)





そこは傍目にひどくわかりにくい場所だった

適当な木にもたれかかりながら
朔洵は切れ切れに二胡を弾いていた



「.......何してますのよ、まったく」

朔洵「......」微笑

「......何今さら優しい顔して微笑んでんのよ」

こぽり、という音とともに
朔洵の唇から真っ赤な血が溢れた

麗蘭は朔洵の元に駆け寄った

「あなた....いったい何の毒を飲みましたの」


朔洵「....約束だったね。君の大切な物を返すよ」

「は、早く....中和薬を....」カタカタ

朔洵「ねぇ、君は最後まで私に甘露茶を
いれてくれなかったね」クスクス

「.......朔洵...中和薬はないの?!」

朔洵「君は結局、白湯しかくれなかった」

「.....まさか!甘露茶の中に入ってたの!?」

朔洵「けどあれほど甘くておいしい白湯は
初めてだったよ」

簪を放り捨て、震えながら袖をまさぐる麗蘭

「た、たしか甘露茶なら持ってた.....」

朔洵「....クスクス」

「あ、...あった!これを早く食べて
茶葉だけでも中和できるはずですわ」

朔洵「.....クスクス」

「な、何笑ってますのよ!早く食べなさい!」

朔洵「こんな私を.....心配してくれるのかい」

「......早く食べなさい!」涙
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