彩雲国物語 李の花嫁

□12話
1ページ/9ページ

パチパチと算盤が響く

三太「なあ麗蘭」

パチンパチン

三太「無視すんなよ。今日は麗蘭に話したい事
があって来たんだぜ」

パチンパチン

三太「お前またどっかに行くんだろ?
あちこちで暇乞いしたって噂だしさ。今度は
いつ帰ってくんだ?」

馴れ馴れしい男の声に、顔も上げず
一心不乱に算盤を弾いていた

三太「いい加減、お前も年頃だろ。
ふらふらしてねーで 一ッ処に落ち着いたら
どうよ。

かくいう俺もこの頃じゃ見合いしろって
周りがうるさくてさ」

「祝儀はあげませんわよ」

三太「何言ってる。
お前に祝儀なんて期待してねーよ!
いいかお前も俺も正月で十七になったんだぜ
お前そろそろ嫁き遅れじゃん」

「三太に関係ないでしょ?早く消えなさい!」

三太「三太って呼ぶな!慶張って呼べよ」

「......なに、今日はおめかしなんてして」

三太「やっと気づいたか!」

「誰とお見合いだか知りませんけどお幸せに」

三太「だから違うって」

胡蝶「おや、王旦那のとこのボーヤ」

「胡蝶お姉様」

胡蝶「今日は麗蘭ちゃんなんだね。ご苦労様
そこのボーヤも懲りないねぇ」

「そうなんですの!早く帰ったらよいのに」

胡蝶「ボーヤ、夜でイイならあたしが相手したげる
よ。特別に時間を空けておいてあげる」

三太(....一晩予約入れたが最後、一家首つり)




それがこの老舗妓楼一の妓女であり、
貴陽花街筆頭名妓・胡蝶を買うということ
所詮町屋の小金もち。二晩と保つまい......
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ