彩雲国物語 李の花嫁

□14話
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胡蝶「噂通り見事な腕だったねぇ」

『おうよ。まったくだ』

『話を聞いた時は眉唾かと思ったがな』

『おお。あの小僧は、俺の組がもらう』

『ふざけんな。こっちが先に目つけたんだ』

劉輝「残念だが、彼はこちらに先約がある」

『誰だてめぇ 見たことねぇ面だな』

劉輝「うむ。初めましてだからな」

『なかなか面の皮が厚いやつじゃねぇか』

『おもしれぇ、てめぇ、名は?』

劉輝「劉輝。紫劉輝だ」

『王様とおんなじ名だってか!』

『けどこいつに目つけたのは俺達が先だ』

劉輝「いいや。影月はこれを受けとった時から
余が目をつけていたのだ」

『会試の受験札!?』

『こんなガキが会試受験者!?
いやそれより、青巾党の奴ら!』

楸瑛「今度はもう少し早く、重い腰をあげて
ほしいな」

『......我々に落し前をつけさせて頂けるの
ですかな』

劉輝「それが筋だろう」

『あなたの座る椅子のために、下げる頭は
ありませんぞ』

劉輝「余自身か」

『さよう。我々の失態が生んだ穴を
取り返しのつかなくなる前に
埋めてくださったあなたに対して。

そして取り決めを守れなかったことへの
心からの詫びを』

白髪の親分の言葉をしおに、
胡蝶を含めた親分達が 一斉に膝をつき
頭を垂れた。

それはまったく威風堂々とした謝罪だった
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