彩雲国物語 李の花嫁

□15話
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胡蝶「まさかあの坊やが会試受験者だったとは」

「驚きましたわ」

秀麗「しかも十二歳で州試を首席及第なんて」

胡蝶「結局、秀麗ちゃん達の家じゃなくて
安宿に泊まってるんだって?」

秀麗「ええ。藍将軍にお酒を買っていただいた
からって言い張って」

「迷惑料まで置いていこうとしたんで怒鳴って
やりましたわ」

胡蝶「律儀な坊やだねぇ」

「あの日の客の一人が主上だったことには
驚かないんですの?」

胡蝶「なんとなく見当はついていたからね」

秀麗「....さすが胡蝶姉さん」

胡蝶「ああ、そうだ今日で最後の賃仕事だろ」

秀麗「え?」

「胡蝶お姉様?」

胡蝶「贈り物があるって言ったろう」

秀麗「....これって」

「......化粧道具一式」

胡蝶「それぞれの妓楼の最高位の妓女達から
ひとつずつ預かってきたからね
どれも最高級品だよ。大切におし」

秀麗「え!?い、いえそんな」

「.....こんな高級品貰えませんわ」

秀麗「それに、お化粧なんて」

胡蝶「覚えとくといい。化粧は女の戦装束。
戦いに赴くときには必ずしてきな
そうすれば、絶対に泣けない」

秀麗 麗蘭「「!!......」」

胡蝶「泣いたら化粧が崩れる。どんなに薄化粧
でも、そりゃあみっともない顔になる

行くんだろ。戦いに」

秀麗 麗蘭「「......」」コクン

胡蝶「頑張っておいで。あんた達の
勇気と決意をあたしは誇りに思うよ」
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