彩雲国物語 李の花嫁

□3話
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秀麗「.....私達の家はねぇ、とっても貧乏なの」

「本家から追い出されて紫州にきましたし、
母様が亡くなってからはあっという間に
貧乏になって、残ってくれた家人は静蘭だけ」

秀麗「....毎日毎日たくさん働いたわ。
だから私達の手は全然、

お姫様みたいな白くて
細いすべすべの手じゃないの。

見る度にため息つくのよね」

「でも静蘭と父様とお姉様と四人居たから
どんなに貧乏でも楽しかったわ」

秀麗「貧乏は慣れてるわ。でも絶対こんなの
もう二度と堪えられないっていう最悪に
辛い出来事があったわ」

「........」

秀麗「.....八年前の王位争いの時」

劉輝「!.....」

秀麗「前王がお倒れになってから、朝廷は
王位争いで政事が荒れてたわね
城下に住む私達はその余波をもろにくらった」

「......働いても働いても食べるものがありません
でしたわ」

秀麗「うちの庭は池は大きいかったし、
果木もたくさんあったから街の人達にわけて
あげることができた」

「そのせいで、池には魚一匹いませんし、
木に花も咲かない....丸裸状態ね」

秀麗「....たくさん人が目の前で死んでいったわ
犬も 猫も 鳥も 花も 草も街から消えた」

「鼠も蜘蛛も動いてるものなら皆血眼で
追いかけて食べたわ」

秀麗「あれは恐怖の毎日だったわねぇ」

劉輝「.......」

秀麗「だから私達は、王宮にきたの」

劉輝「.....え?」

「あんな日々は御免ですもの!」

秀麗「だから今度自分にできることがあるなら
しようと思ったの」

劉輝「......だから、きたのか」

秀麗「そうよ。人の力で何とかなることだって
いっぱいあるのよ」

「庶民がいくら頑張ってもできないことがある
それを王様がサボったら誰がやりますの?」

劉輝「.......」
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