彩雲国物語 李の花嫁

□7話
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(.......外朝にいるのに全然 絳攸様に会えない)

黎深「随分と重そうだね 手伝うよ」

「.......あ、あの」

黎深「黄尚書の所へ運ぶんだね」

「結構ですわ。これは私の仕事ですし」

黎深「いいからいいから」

「あの、本当に」

黎深「君は近頃 黄尚書の所へ派遣された子だろ
う?」

「ええ、そうですけれど」

黎深「名前は?」

「麗です」

黎深「そうか、麗君か。黄尚書にいじめられて
ないかい?」

「いいえ、やりがいがあります」

黎深「いい子だ」

「.........(誰なんだろう こいつ)」

黎深「ところで麗君、私をどう思う」

「........はい?」

黎深「その、好きになれそうだとか.....」

「......いい人だと思います」

黎深「本当に!?」

「は、はい。本を運んでいただきましたし」

黎深「それは良かった!本くらいいつでも
運ぼう」

結局男は上機嫌のまま戸部まで本を運んでくれ
名残惜しそうに何度も何度も手を振って
去っていった。










(......この暑さでイカれた奴が出てきたのね)
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