殺戮の天使 Revive Return

□殺天R2 JC2
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 真田星屑学院、中等部。

 新入生のレイチェルを連れて、ここまで案内してきたザックが1年13組に入室する。

 普通じゃない生徒の巣窟、と称された異質な隔離教室へと。

ダニー「おや、ザックじゃないか」

グレイ「遅刻だぞ、ザック」

ザック「サボらなかっただけマシだろうがよ」

 二人の教師が出迎える。

 その内の一人は、レイチェルも顔馴染みの教師だった。

レイ「ダニー先生」

ダニー「やぁ、レイチェル。入学式以来かな」

ザック「なんだぁ? ダニーのことは知ってたのかよ」

レイ「入学式の時に具合が悪くなっちゃって、保健室で会ったの」

 ちなみに、ダニーは保険医の先生ではない。

 いわゆる、生徒の本音に耳を傾けてくれる“お悩み相談室”の担当教員なんだとか。

ダニー「突然のクラス異動には驚いたかな。ごめんね。あれを申請したのは僕なんだよ」

レイ「…? どうして…」

グレイ「その前に自己紹介をさせてもらうよ。私はグレイ。この教室の担任教師だ」

レイ「レイチェル・ガードナーです」

 お互いに簡単な自己紹介を済ませた後、レイチェルは教室内を見渡す。

 いくつもの机に、数点の持ち物。

 だが、肝心な生徒が誰もいない。

 荷物があるなら登校しているはずなのだが、お手洗いにでも行っているのだろうか。

 しかし、見た目から普通のクラスと違う、と思わされたのは……。

レイ「先生、このクラスは何人の生徒がいるんですか?」

 並べられている机は極少数。

 一応多くの机は用意されているものの、ほとんどは教室の後ろに積まれて放置されていた。

グレイ「このクラスは時と状況に応じて定員が変わっている。今回、君が突然の異動を言い渡されたようにな」

レイ「……決まってないんですか?」

ダニー「そうだね。進級する前に元々のクラスに戻っていく場合もあるし、他のクラスから異動になって増える場合もあるんだ」

ザック「おかしな連中を集めて、閉じ込めるための牢獄だろ。胸糞悪りぃ」

ダニー「こら、ザック」

 七年も留年を繰り返しているザックは、この教室の古株だ。

 そこまで長く同じ教育を受け続けていれば、例え勉強家だとしても嫌になる。

グレイ「では出席を取ろう。入学初日からこのクラスに足を運ぶ者も少ない。一人でも来てくれたなら私の予想以上だ」

レイ「…? わたし以外にもいたんですか?」

ダニー「そうだね。まぁ、来ないとは思ってたけど」

グレイ「ザック。お前も席に座りなさい」

ザック「チッ…、めんどくせぇ…」





 1年13組。

 登校初日、今このクラスには何人の生徒が在籍しているのかも分かっていない。

 担任教師のグレイと、生徒相談室長のダニー。

 そして、七年も留年しているザック。

 新入生もレイチェルを含めて二人いるらしい。

レイ「(わたし、どうしてこのクラスに入れられたんだろう…?)」



 レイチェルがその理由を知るのは、まだまだ先の物語である。

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